新春インタビュー


 岸参議院議員には、平成21年暮の某日、あらかじめ提出しておいた質問をもとにインタビューに応じていただきました。自民党にとって総選挙後の厳しい状況の中で、日本再生に向けた真摯な取り組みと、幅広い見識、政治家としての必要な資質を備えておられることを十分うかがわせて呉れる内容だと思います。

1. 防衛政務官お疲れ様でした。我が国は尖
閣諸島や竹島、北方4島などの国境問題や中露、北朝鮮の軍備増強や核開発などの諸問題を抱え、防衛力整備は喫緊の課題だと思いますが、どのように進めていくのが良いとお考えですか。

河野.
 勝手にこんなのを作りまして。
岸.
 いえいえ、中々難しい質問で。
河野.
 藤川さん(岸議員の政策秘書)から伺ったんですけど、戦闘機に乗られたんですか。
岸.
 乗りました。これは訓練の視察ということですけどね。自衛隊、特に航空自衛隊戦闘機のパイロットというのは、大変トレーニングが厳しくて、今、なりてが居ない。ある程度若くないと出来ないし、体力的にもたないんですね。乗ってみてよく分かりましたよ。
河野.
すごいもんですか。
岸.
すごいもんですよ。中々普通じゃつとまらないことです。
河野.
 だけど、F22なんかもっとすごいんでしょう。
岸.
そうですね。飛行機の性能がすごく良いですから、そうするとそれに耐えられるような体を作っておかなくては、まあアメリカ人はがっちりしているから良いですけど普通の日本人だと中々厳しいかも知れませんね。でも、Gがかかるから体
重が軽い方がもしかして良いかもしれませんね。
河野.
 大変なんだなあと、藤川さんからちょっと伺っただけなんですけど。それでこういう質問をさせて頂こうと思ったんですが、防衛政務官としてお疲れだったでしょうが、いろいろと見聞も広められて勉強もされたでしょうから。
岸.
 去年の8月から今年の9月16日まで、1年と1ヶ月ぐらいですね。政務官を勤めさせていただいて、防衛省にしても自衛隊にしても、普段の活動というのは一般の方からすると分かりづらいですよね。ですからそういうところの、特に自衛隊員に直接あって、基地にも随分行きましたけれども、寝食を共にしたりして苦労もよく分かりました。
河野.
 こんな新聞記事を読んでみても、結局中国の覇権主義というのはすごいですね。
岸.
 そうですね、今日本の周り、いわゆる極東の安全保障状況というのは、冷戦期よりも厳しくなっているところもありますよね。
冷戦構造は崩壊したといわれるんですけども、ソ連がロシアに変わって、またそのロシアの国力が復活してきましたね。エネルギーの価格が上がってきて。それと共に軍事力も相当強くなってきていますし、それから中国は変わらないでしょう。北朝鮮はある意味日本に対して悪くなってきていますよねえ。それに加えてテロの問題とか、新型インフルエンザの問題とか、それから気候変動でね、今までよりも災害の規模が大きくなってきていますよね。そういったことを考えていくと、安全を守っていくというのは昔よりも難しくなっていると言っても良いと思うんですよね。そうした中で今の政府の対応と言うのはちょっといけませんね。
河野.
 もう本当に。
岸.
 例えばね、航空自衛隊がスクランブルという緊
急発進をかけますよねえ。これが、冷戦期には年間1000回ぐらいだったんですね。その後ソ連が崩壊して、ずっと少なくなったんですけど、また、一昨年は年間300回だったんですね。で、実際の領空侵犯まで行かなくてもそういうことでこっちに飛行機が来てることも結構多い。それから当然南西諸島のほう、尖閣の方も今度は中国の関係がありますから難しくなっていますし、そういうところに対しての意識がちょっと未だ日本は、一般のレベル、国民レベルでは感じてないですね。
この間、与那国島に陸上自衛隊を配備しようという話があって、いろいろ検討してたんですけどねえ、今の政府はそれを止めちゃったですね。これはねえ、要はいたずらに隣国を刺激すべきではないというんですね。このあいだ中国が建国60周年の軍事パレードを大々的にやったんですけど、向こうの軍のハイクラスの人に聞いたらば、このパレードは何のためにやるかといったら、「近隣諸国に対する威嚇です」、はっきりしてるんですね。何をやってるのか。
河野.
 まあ、そのために持っているんですよね、軍備っていうのは。
岸.
 そうですね。
これは別にすぐ戦争をしろっていうことじゃないんですよ。やっぱり、日本は海洋国家ですね、海に囲まれて、日本の領土自体は38万平方キロで世界の60番目ぐらいなんですけど、海の上のいわゆる排他的経済水域というのを合わせると世界で9番目ぐらいになるんですね。ですからそういう意味では非常に大きな国になる。そこの権益というのをしっかりと押さえていかなければいけないし、当然中国もそういうことで海の方へ出てきますしね、そこでしっかり主張するためには守りを固めた上で向こうと交渉する。向こうも当然そういうことをしています。そのことがおかしな軍事衝突を起こさないための方策だと思いますしね、それはやっぱりこれからもやって行かなければいけないと思っています。
河野.
 本当は核兵器を持ってないと渉り合えないんですけどねえ。
岸.
今それはアメリカにその役割を担ってもらってますよね。日米安保条約は50周年です。日本が独立国として将来自主防衛を目指すべきだという議論は当然あるし、考え方としておかしくないと思いますけど、そのためには軍事費がどのくらいかかるかと、いま国防費で大体5兆弱なんですけど恐らく3倍ぐらいはかかる。独自でやろうとすれば15兆円ぐらいかかる。アメリカにとってもこのアジアの平和と安定というのはこれは非常に関心の高いところですから、アメリカにとっても日本と同盟関係にあるということは有意義なことなんで、これは日本だけの利益ではなくて向こう側の利益にもなる。で、地域の安定にもつながる。こういうことだと思うんですね。
日本はアメリカに守ってもらっているという言い方をする人が居ますが、こういう言い方をすると、自衛隊の人たちには本当に可哀そうだと思うんですね。彼らは日本は自分たちが守っていると、こういう意識でやってます。で、アメリカは安保条約の第五条で日本の防衛義務というものを負っているんですけれども、それはあくまで日本が本気で守るという気概がある国であれば、彼らも日本のために血を流す覚悟で守ってくれる。でも日本が最初っからね、防衛を止めちゃったらそりゃあアメリカだって本気で守っては呉れないですよ。
河野.
 誰が考えても当たり前の話だと思いますがね。
岸.
 そこは信頼関係でね、出来上がってるところですから。今ちょっとその信頼関係が揺らいでいる。
河野.
 大変なことですね。ドイツなんかは核兵器を持ち込んでもらって、引き金の権利も持っているらしいですね。そういう体制が日本でも出来るものかどうか。
岸.
 ドイツのように、元々ヨーロッパの中で国境を接している国とですね、国境を接してなくて島国の日本とは少し違うとは思うんですけどね。あと、やっぱり日本は戦争で核兵器を使われた唯一の国ですから、非常に核兵器を自分たちで持つことに対してアレルギーも当然ある、それはもちろん核兵器に頼らないで平和が維持できればそれに越したことはないんですけど、今は中々すぐにそういうことにならない。ですから、オバマ大統領も、核廃絶に向けては真剣に取り組むということではあるんですけど、かといってアメリカが一方的に減らすかといえばそうじゃないですよね。中国やロシアとの関係において減らしていくということはあるかもしれない。やはり難しい現実があると思います。方向性としては、核は徐々になくしてゆく方向でないとおかしいとは思うんですけどね。
河野.
 アメリカが核を減らしたって、自分のところは十分持ってて、古くなったものを削減するだけでしょうから、実質的な核の削減と言うことじゃないと思うんですけど、特に中国の軍事増強なんかを見ると本当に日本大丈夫かなという気がしますね。
岸.
 そうですね。中国はもう20年以上続けて防衛費を2桁%以上増加させてます。日本も含めて中国に対して説明をしろと、何でそれだけの防衛費が必要なのかと、それに対して明確な答えが出てない。確かに国防力を充実させるということは何処の国でも必要なことではありますが、必要以上のことをすれば当然周りの国にとっては脅威になります。中国は長い国境線をいろんな国と接しているんですが、先ずそっちを安定させてますよね。で、海の方へ防衛力を、国防力をシフト、軍隊をシフトさせています。中国側から見ると、もし、太平洋に出ようとすれば日本がすごく邪魔な存在になるんです。ですからどうしても日本と衝突するというのはこれから考えられることですから、それが平和を乱さないような形をしっかりこちらも採って行かないといけないですね。
河野.
 そう思いますけど、ちょっと今の日本の体制は。日本にとって本当の脅威は中国の覇権主義なんですけど、その中国に一番卑屈になっている。
岸.
 米軍の再編には二つの目的があって抑止力の維持と沖縄の負担軽減ですね。鳩山さんの頭の中には沖縄の負担軽減はあるんですけど、抑止力の維持という考えが無いんじゃないかと思っちゃうんですよね。確かに沖縄に負担が集中しているというのは事実だし、そういう意味では大変な思いを沖縄の人たちはしてるということはよく理解できるんですけど、現実に中国やあるいは中国と台湾の関係ですね、何か事が起こるとしたら中台の国境の可能性がありますし、それから日本でも島嶼部、島の方というのがありますんで、そういうことを考えると、沖縄に防衛力を集中させるということはどうしても必要なことなんですね。で、歴史的な部分と言うのは当然沖縄にもあるんですけど、ただどうしてもあそこに、自衛隊もそうですけど米軍の部隊を常駐させておくということが、これは地域の安定にどうしても必要になってくるということです。出来るだけそこを保持しながら、海兵隊はグアムに移駐させると、そういうことで全体の負担を軽減させようと言うことですね。
それから普天間はもう危ない基地です。事故がありましたよね、国際大学にヘリが落ちるということがあったんですけど、そういうことだけではなくてやっぱり街の真ん中に基地があるというのはあまりにも危険な状況なので、それは早く撤去しようということで、一番早く撤去させるにはどうしたら良いかということをいろいろ考えた上で辺野古というのが出てきた話しですね。誰にとっても基地って言うのは迷惑なものです。
河野.
 それはそうですね、危険は伴いますし。
岸.
 それを海の上に作ることによって事故に県民が巻き込まれることがないようにしたいと言う事だと思いますね。

2. これまでの西洋医学一辺倒に対し反省
が生まれ統合医療化が進んでいます。これは主として、慢性病に対する西洋医学の限界が指摘され、伝統医学が見直されて来たためですが、この中で鍼灸は特に注目され、特許や国際標準化の対象として覇権争いが熾烈になってきています。日本には独自な日本鍼灸がありますが、覇権争いで先頭に立つ中、韓、米、独は国策での取り組みであり、わが国は出遅れています。我が国も国策としての取り組みを行うための条件とはどんなものでしょうか。

河野.
 我々の鍼灸の問題でもですね、結局中国がものすごい覇権主義的な行動をするわけですよ。とにかく自分のところを世界標準にしたい、韓国もそれに負けてはならじと言うところでいろいろやってるところですよね。それとアメリカとかドイツが絡んで随分うるさいことになっているんですけど、その中でやっぱり中国の動きというのが一番突出しているような感じを受けますね。だから中国の覇権主義というのが我々の方にも影響しているんじゃないかと、向こうは自分の所の覇権を強めるために使えるものは何でも使おうということでしょう、結局。その中に鍼灸も含まれているんじゃないかなという気がしますね。
岸.
 なるほど。中国について、よく言われるのはODAですね、政府開発援助、これのやり方が非常に中国と日本と比べますとね、中国のやり方というのがあまりにも覇権と絡んできているというのは明らかなんですね。アフリカの方でも随分中国が入っているんですけども、中国が何をやってるかというと向こうの政治指導者が喜ぶことをやろうとしている。例えば大統領の官邸を作るとか、そういうことを結構やってるんですね。で、日本はそういう形ではなくて出来るだけ彼らが自活できるような、自立できるような支援をして行こうと、こういうことでやってますねえ。アジアなんかは日本が随分前から援助してましたから彼らは自立をしてきた。昔はアフリカもアジアも同じようなレベルだったのがアジアはずーっと伸びてきた。アフリカの方は中々そうは行かなかった。日本の援助がうまく入って行きませんでしたから。
で、あそこの場合はやっぱりヨーロッパとの、かつての宗主国との関係ということがあったんですね。あまり独立自立を促すような形がなかったということがあったんですけど、中国がやっているのもどちらかというとそんな感じがするんですよね。で、最終的には中国はそう言われながらでも相手の国に取り入ってそうしてそこでの利権、地下資源とかそういったものを手に入れてる。最終的な目標から考えると日本よりは外交上手といいますかね、そういうところがあるのかなと思います。
河野.
 まあ、日本ももっとしたたかなところがあって良いと思いますね。国際鍼灸学会WFASというのがあるんですけど、それは日本が最初に立ち上げたんですね。事務局も日本においてやるつもりだったのをいつの間にか中国に取られてしまって、もう完全に向こうの支配下に入ってしまったというようなことがあるんです。
岸.
 これは日本も相当考えていかなければいけないんですが、我々もですねえ、自民党の中でも随分議論をしたんですけど、いろいろそういう国際機関の本部をですね、これをもっと日本に誘致しようじゃないかという動きを今まで余りやってこなかった。で、本部が他のところにあるというのはどうしても日本の言うことが通らなくなるということがありますんでねえ。今もうほんとに限られた部分しか国際組織のヘッドクオーターというのは日本に無いんですね。これはやっぱりもっと積極的に誘致をしていくべきですね。
河野.
 結局、我々は民間で、乏しい資金でやってますが、向こうは国家でやってくるから絶対太刀打ちできないですよ。
岸.
 もう一つはやはり鍼灸というものに対しての国民的な理解度というものがまだまだ足りないと思うんですね。
河野.
 まあ、我々の努力不足もあるんでしょうけど、日本政府の認識も足りない。
岸.
 どうしても、ここでも統合医療の事が書いてありますけれども、これからの流れとして医療費が莫大なものになっているのですけれども統合医療を進めていく中でね、薬に頼らない健康の維持ということを考えていくとどうしても必要な分野だと思います。ただ、一般的にはそういう理解が進んでないですねえ。
河野.
 ドイツがすごいんですよ、今。臨床試験をやりましてね。それが、何千とか何万の単位で臨床試験をやってるんですよ。すごいことですよね。それだけのことが出来るということだけでも。日本の臨床試験ではせいぜい何百でしょう。何百でも相当大きな規模の臨床試験ということになりますけど、桁違いにすごいことをやってますね。
岸.
 そういう意味ではもう少し政府としてしっかりサポートしていくということと、同時に国民の認知度を上げていくということがどうしても必要ですね。
河野.
 やっぱり外国でそれだけのことをやるというのはそれだけの効果を認めているということですからね、それが日本の政府レベルではそういう認識が無いということになるわけですね。
岸.
 例えばいろいろ疲労がたまったり体が調子悪いときに、鍼灸、マッサージを含めて実際に頼りにしているところは大きいんですけど、じゃあ、それが西洋医学との関係で、本当にそこに位置づけられて居るかというと中々そうではないですよね。で、またその、お医者さんの意識というものが、これが、考え方がそこまで至ってない方も多分居られることだと思いますし、そういったところをやっぱり変えていかないといけないんでしょうね。
河野.
 その辺が一番難しいとこなんですけど。で、何かいうとすぐエビデンスがということになりますんでねえ。でもまあ、この前、埼玉医科大学の理事長さんが言っておられたのは、もう鍼灸についてはエビデンスなどと言わなくても良いんではないかと言っておられましたね。外国の取り組みを見たらそれ自体がエビデンスだと思えますからね。
何とかいい突破口がないものかと思っているんですが。僕はやっぱり鍼灸師法、今は、あん摩、マッサージ師、はり師、きゅう師という一くくりの法律ですからね、手技療法と道具を使う鍼灸とを一緒くたにした法律なんですよ。それでは駄目だろう、やはり鍼灸専門の法律でやらないともうどうにもならないんじゃないかというふうに思っているんですけどね。それが出来るかどうか、作る方策ということになる。
岸.
 これはやはり国会議員の中で理解度を上げていくということと、それから理解している国会議員を増やしていくということがどうしても必要ですよね。
河野.
 今度あれですね、国会議員の先生に1度鍼をさせていただく機会を与えて貰いたいですね。
岸.
議員会館の下にですね、鍼がありますよね。我々の参議院のほうは無いんですけど、参議院の方の下には指圧があるんですけど、衆議院のほうには鍼があります。行ったことはないんですけど。
河野.
 そういう機会が作れるようであれば東京のはり師に参加してもらってやりますよ。
岸.
 どういう形で法律できっちり定めていけるかというのはまた議論をいろいろ重ねて勉強していかなきゃいけないですね。
河野.
 外国が、他の国がもう国策でやってますんでね、それに太刀打ちは出来ませんよね、我々は。
岸.
 でもそうは言っても東洋医学なんで、日本が本当はねリードしていくぐらいでないと。
河野.
 そうでないといけないんですけど。
岸.
 中国は国で相当取り組んでいますよね。
河野.
 すごいもんですよ。
岸.
 日本の鍼も元々は中国から入ってきたものですね。そのあと日本で独自の発展を遂げた。
河野.
 中国の鍼は太さが違うんですよね。大体日本のものより太くて長い。で、形状もちょっと違いますし、日本では鍼管といって管の中に鍼を入れて、ぽんぽんと叩き込む方法なんですね。刺入するときに。中国ではこの鍼管を使わないで持ったまますっと刺し込むんですよ。で、太くて、そういう刺し方ですから痛みが出る確率が高いんです。必ず痛みが出るというわけではないんですけど。やっぱり西洋なんかに行っても、針は痛いから嫌だという評判があるらしいですよね。
岸.
 それは技術の問題もあるんですか。
河野.
 技術の問題もあるし、道具の問題もありますし。
岸.
韓国はまた違うんですか。
河野.
 韓国もちょっと違うんですよ。韓国の鍼はじかに見たことはないんですが、映像なんかで見るとやはり太目のものを使ってるみたいですね。やっぱり鍼管を使わないんではないかな。
岸.
 中国の鍼は手術のとき麻酔の代わりに使うことがあるんですか。
河野.
 昔はやってたんです。だけど効果がちょっと不安定なところがあるということで、やっぱり薬物麻酔が主流みたいですね。これが中国の鍼です。これでも細い方だと思います。これが日本のものです。
岸.
 明らかに違いますね。
河野.
 これをこういう風に入れて、ぽんぽんと叩いて刺入します。鍼管を使うのが日本流です。日本独自の方法ですよね。これだったら殆ど痛みを感じません。分かりませんでしたというのが殆どです。勿論、非常に敏感な人もいます。それから鍼が体質的に合わない場合もありますので、そういうときは痛みが出ることがあります。そういう人には鍼をしないで他の方法、お灸とかね、そういうことを考えるんですけど。
岸.
 まあ本当、医療費が国の財政を圧迫しているわけですから、それに対して西洋医学だけでは限界もありますし、如何に健康を維持していくかということの方、病気になった時どうするかというよりも、むしろそっちの方をどうするかという方が必要なんでしょうから。
河野.
 病気の予防ということについては非常に強いと思います。東洋医学のほうが。よっぽど進んでいると思いますね。一旦病気になってしまってどうにもならないようなのは、切ったり貼ったりも必要なんでしょうけれども、ならんようにすると言う点では東洋医学のほうが考え方が良いと思いますよ。東洋医学で統合医療ということになると、癌に有効だとか何とかと言うほうが話題性はありますけど、もうちょっと地味なところで予防とか、慢性病で薬害が出そうな人には非常に良いと思いますよ。
岸.
 そうですね。中々そのきちんとした資格を取っておられない方がいるというところもあるし、逆にそういったところが一般のちょっと怪しいという見方をされている部分であるかも知れませんね。
河野.
だからそういう意味でも法律的にきちんとした形を作るべきだと思うんですね。やっぱりそういう怪しいものと区別するということが結局は医療費削減とかそういうことに繋がって行くんだろうと思うんですけど。そんなことでいろいろ見ているんですが、やっぱり食べ物のこともここに書いておいたのですが、先生は農業の方はご専門なので。インターネットを見ていたらこんなのが出ていました。

. 肥料を使わない自然農法の取り組みが
行われています。肥料を使って育てた作物は放っておくと腐るのに対し、肥料を使わないで育てた作物は枯れるか醗酵するといいます。そして無施肥のものはしっかりと根を張り病気や害虫に強いそうです。このような栽培方法で作った作物にして初めて人の生命力を助長し、健康を維持することができるといわれています。農業は農産物の量を確保することと質を担保することが大切ですが、このような自然農法によるものは生産コストはどうしても割高となります。しかし、これによって健康が維持できれば医療費がかからずトータルコストはかえって少なくなります。これからの農業政策はどうあるべきと考えますか。

青森のりんご農家で、木村さんという方が居られるんだそうです。りんごを何とか無農薬で作りたいと思って、いろいろやったんだそうですよ。いろいろ調べて、畑を掘り返したら、ある深さに行くとものすごく硬い層が出来ていたんだそうですね。それは何で出来たかというと、肥料をやったせいでそういう層が出来たんだそうです。必要以上に肥料をやってるとそんなことになって、そこから根を張れない。硬すぎて。それをどうしたら解消できるかいろいろ考えて、とにかく肥料をやらないで放置しておくということですね、そうするとだんだんその層が取れてきて柔らかくなるんだそうですよ。それでちゃんと根も張るようになる。そういう状態に持って行かないとりんごの木の生命力が弱いですから、害虫に対して弱い。だから消毒しなけりゃならないということだそうです。で、結局その土壌を改良するのに7年間辛抱した。肥料をやらなかったら7年間りんごの実が全然ならなかったそうです。だけど改良するためにはこの方法しかないんだということで、出稼ぎしながら7年間持ちこたえて、段々なるように成って来たそうです。そしたらそのりんごは腐らない、枯れるんだそうですよ。枯れるけど腐らない。肥料やって育てたのは腐るんだそうです。そのまま抛って置くとね。そういう違いがあって、食べても非常に美味しいということです。
岸.
 味は、美味しいんでしょうね。
河野.
 そうみたいです。
岸.
 あとは何処まで効率が上がるかということなんでしょうね。
河野.
 そうなんです。結局廉いのを沢山作るから経営的にも苦しくなるんですよね。
岸.
 そうですね。あともう一つ消費者の方の問題ですよね。じゃその虫が食ったりんごがどうなのかというところもありますよねえ。農薬なんかについてはそういうことだと思うんで、それでも農薬を使わないような努力をされて、当然その栽培のコストがかかる。ではそのコストを消費者の方が理解していかなきゃいけないんですけど、まだそれが進んでない。これは流通の問題もあります。特に量販店はどうしても価格競争という形になってしまう。いわゆる無農薬のコーナーというのはそれはそれであると思うんですけど、無農薬は無農薬でその中での競争になっちゃってるというところがありますよね。そのへんは流通もそうですし、消費者も視点を変えて、安心安全のコストというところをきっちり負担していかなければいけないんだという意識を持ってくるということなんでしょうね。
河野.
 それで、その栽培方法を敷衍して米とか他の野菜なども栽培するようになったんだそうです。そういう仲間が出来てきて。で、やっぱり肥料やらないで作ろうとすると、その土地にあったものでないと中々うまく行かない。だから米でもその田んぼで取れた籾を種にして使うという、そういうサイクルを作っていって、その土地の自然にあった品種というか、そういう状態に作っていく必要があるんだそうです。そういう風にすると非常に丈夫になる。
我々は無農薬というとすぐ有機肥料と考えますが、無農薬は勿論ですが、有機肥料でも化学肥料でもとにかくやり過ぎてはいけないということなんだそうです。地下に硬い層ができちゃう。だから、やり過ぎないように必要最低限だけやるという、そういう作り方で菜っ葉を作り、その根がどれぐらい伸びているかを調べたんだそうですよ。そうしたらなんと地下8メートルまで確認できたというんです。ほんの小さな普通の菜っ葉がですよ、そのぐらい根を下ろしているんだそうですよね。まあすごいもんだなあと思ったんですけど。そういう野菜、農作物を食べるのと、肥料をいっぱいやってぐすぐすっと育ったような野菜を食べるのとでは人間の体への影響は絶対違ってくると思うんですよね。
岸.
 そうですね。今の話じゃないですけども、肥料をやってればそれこそ数十センチのところに養分があるわけですよね。ですから根を張る必要がない。やっていなければそこまで養分をとりに行かなくてはならないわけですから、逆に言うとそれだけのパワーを備えるということなんでしょうね。
河野.
 だから我々も病気になったのを治すということじゃなくて、そういう食べ物の面からも考えて行かないといけないというふうに思ったもんですからこれを取り上げてみました。
岸.
 仰るとおりだと思います。健康を維持するというのはいわゆる狭い意味での医療だけではこれはなかなか難しい訳で、ですから今仰るような食の問題ですね、そういったところも考えていかなきゃいけない。特に日本人の場合は体の構造からしてですね、いわゆる西洋の食習慣が決して合ってるとは思えないわけですから、今なかなかこれだけ多様化した食を、また昔の、昭和30年代の食事に戻せといわれてもなかなかそれは難しいかもしれませんけれども、ただまあ、その中で日本人に合った食というものを取り戻していかないといけませんね。
河野.
 コストとか何とかということと折り合いをつけてどう実現していくかということ、これは難しい問題だろうとは思いますが。
岸.
 今、世界の人口というのはどんどん増加してますね。それに見合う農作物、食料を世界全体で見て作って行かないといけない。農業の生産力というのは限界に近づいている。一方で人口は伸びていく、このギャップがどうしても出てくるんで、そこをどうやって埋めていくかということはこれから非常に難しいところではありますよね。過去いろんな農作物の改良が行われて、昔から見たら格段に生産力というものは上がってきているわけですけど、どうしても農薬や肥料に頼ってる面もかなりありますしね。勿論そういったものを使わないほうが体にはいいわけですけど、じゃあ、量を確保するということで考えると難しい問題が世界規模では起こってしまうということで、なかなか難しい状況ではありますね。
 今、いわゆる気候変動、激しく温暖化が進んできているということで、今まで作っていた作物が取れなくなったり、あるいは、例えばお米にしても、今、北海道でも美味しいお米が作れるようになってきているという変化もあるんですけど、例えばアメリカの穀倉地帯あたりが温暖化の影響で生産力が落ち来てしまうと世界的な規模での厳しい状況というのが起こってくるわけですね。
河野.
 そうなると人間の生き方自体に絡んでくるような大きな問題になりますよね。
岸.
 ただ、そうは言いましても、今は無駄にしている部分があります。これをやはり一人ひとりが考えないといけないと思いますよね。いま日本の食料自給率というのがカロリーベースで4割、大体40%ですね。もし昭和30年代の食生活に戻せば、もう軽く7割以上にすることは出来るんですけど、なかなかそうは、現実にはですね。ただ、基本的に言えるのは、日本人は米を食べる、ご飯を食べるのが基本ですよ。そういう食生活に改善をしていくということが必要だと思いますし、そのためにはやっぱり食育ですね、特に子供たちに対する食育と言うのをどんどん進めて行かないといけないと思いますね。
河野.
 それが必要でしょうね。米をだんだん食べなくなってきている。
岸.
 そうですね。パンを結構食べる。朝忙しいときはパンの方が楽ですよね。でも今、米粉パンとか、随分味も改善されて来てます。小麦は殆ど輸入ですからね。
河野.
 うちなんかパンを家で焼いてるんですけど、それに玄米を混ぜて、玄米のご飯をそのまま入れて焼くんですよ。これが結構美味しいんです。
岸.
 やっぱり少しこう、もちもちとした感じ。
河野.
 そうですね。

4. 日本の常識は世界の非常識といわれて
いますが、その乖離を埋める努力が必要であると思います。この原因は戦後のレジームにあると言われ、それからの脱却を試みられた安倍元総理は数々の成果を上げられましたが、道半ばで降板を余儀なくされました。誠に痛恨の極みでありましたが、この努力は継続されるべきであります。抜本的な対策は政界の再編以外にはないと思いますが如何でしょうか。

安倍先生のことは惜しいことでしたけど。
岸.
 そうですね。日本がですね、戦後の歴史観にとらわれた部分というものは随分あると思いますし、子供たちの教育の問題ですよね、これはやっぱり相当大きかったと思います。ですからそうしてるうちに結局、日本人自身が国に対する誇り、自信、そういったものを失ってしまったわけです。そういったものをもう1度取り戻して行かないといけないと思います。経済が強ければ自信も取り戻せるんだろうと思うんですけれども、両方これはしっかりとやって行かないといけないと思いますね。
河野.
 僕なんかは資料を持ち合わせていないから本当のところは分からないけど、やっぱりアメリカの占領政策にも随分影響されているわけで。
岸.
 影響されましたね。やっぱりアメリカは戦後日本に対する脅威というものを持っていましたから、また将来アメリカに刃向うようになっては困る。こういう考えだったと思います。ただ、そのあと朝鮮戦争が起こったり、中国が力を強くして来たというなかで、日本がむしろアメリカとともにあるという形のほうがアメリカにとってもメリットのある形であると、こういうことが理解されてきた。そのなかで日本も、日本の安全を守っていくためにはアメリカの力が必要だ、こういうところから安保条約も出来ましたし、日米の同盟関係というものがどうしても必要だと、こういうことになってきたと思うんですね。
日米同盟、日米安保というのは日本の経済の復興には非常に大きな意味を果たしたことは間違いないですね。あまり国防のことを頭に置かなくても経済の復興に集中することが出来たんですけど、そういう面でのプラス面はあったんですけども、じゃその独立国としての国家観といいますか、そういったものがその中で醸成されてきたかと言えばそうじゃない。残念ながらそうじゃなかった部分というのはあると思うんです。そこなんです。
河野.
 それで結局、アメリカの占領政策の悪い面をうまいこと共産勢力に踏襲されて上手に使われてやられたということなんでしょうけど。我々も子供のころからずっと日本は駄目な国だという教育しか受けてないもんですから、非常にその辺が問題なわけなんですけど。
岸.
 やはりその占領政策の中で一つ救われたのは天皇陛下の存在を、新憲法の下では象徴という存在ではありますけども、天皇を中心とした国と、こういう形が維持されたと、これが唯一救いだったのかなあというふうに思います。ですから、もしそこが失われてしまったらこれは大変なことになっていたと思います。
河野.
 日本になくてならない存在ですから。すごく大きな力ですよね。
岸.
 今、仰ったような共産主義の勢力、左翼的な思想というものも随分はびこってきました。で、いわゆる55年体制ですね、保守合同があり、そして社会党があり、イデオロギーの対立というものがあったという形が冷戦の崩壊、それと共に崩れていった。世界的には崩れていったわけですけども、ただ、今、日本のなかで見てみますと、やはりまだまだそういった対立といいますかね、そういう部分が表には出てこない形で進行しているというところがあるんじゃないかと思うんですね。ですから、そういうところは今まで以上に注意していく必要がありますね。今の鳩山政権のいろいろな政策の中にもそうしたところが強くあって、ですから、もうイデオロギーの対立じゃないんだからと、こういう風に言われるんですけども、でも本当にそうなのかというところはいつもきちっと考えておかなければいけないところだと思います。
河野.
 外国人参政権などというものはどういう発想で出てくるのかなあと思いますけどね。
岸.
 やっぱりねえ、今ね、参政権は憲法の上でも日本人に認められた権利ですから、そこは日本人としての国籍をとってもらう、帰化してもらう。日本は二重国籍を認めていませんから、他の国の国籍を捨てるということになるんですけど、そのことによってある意味で日本に対する気持ちをきちんと表してもらう。このことが必要なんだと思いますね。なかなかいま地方の問題といえども国政と大きく関連をしてくることが多いですから、これは地方だから認めていいんじゃないかというのはちょっと違うんじゃないかなと思います。
河野.
 日本は日本人だけの国ではないという、そりゃあものすごく心の広い神様みたいな発言で、それが出来りゃ問題ないんでしょうけど、とても今の国際情勢はそんなことを許すような状況じゃないと思いますねえ。
岸.
 確かにいま日本には外国人が相当な数入っていますし、いろいろな労働力としても現実には頼りにしている部分もあります。ですからそれぞれの地域社会に於いて外国人がそれを形成する一員にもなりつつあるんですけども、そのことと参政権、政治に参加する権利を持つかどうかということは違うと思うんですね。そこはきちんと区別して行かなければいけない。
河野.
 国家体制まで変わってしまいますからね。それが進んでいけば。
岸.
 それこそ地方の小さな自治体であれば、外国人が入ってくると、もし、参政権をその地域で取得をしたとしたら、外国の意思を反映した政治が行われるということも、可能性としてはあるわけですからね。
河野.
 今の鳩山政権の一番の問題点ですよね。
岸.
 これが一番の問題点ですね。心が広ければ良いというもんじゃないですからね。
河野.
 だけど、インターネットが普及したおかげで、そういうことも割と一般の目に触れやすくはなりましたね。
岸.
 そうですね。ですから地方参政権の問題についても、いろいろと議論がですね、ネット上でも行われてますし、そういうことでこのことの問題意識も高まっていると思いますね。
河野.
 インターネットもいろいろな問題を抱えていますが、そういう意味ではいいですね。本当に読み応えのあるサイトもありますしね。
私は学校を卒業してから大阪で小さな会社に入ったんですけど、そこの社長が安岡先生の講演会に連れて行ってくれましてね、最初はお話を聞いても何のことかさっぱり分からなかったんですけど何回か行くうちに、ああ、そんな世界があるのかと、段々思えるようになってきて、講演会だけは聞かせていただきました。そのなかで、馬鹿の一つ覚えでこれだけは覚えているわけです。

5. 「民は由らしむべし、知らしむべから
ず。」と孔子様が言われたそうでありますが、これは、政治とか経済とかの本当のところは衝に当たっている専門家にしかわからないことで、一般庶民にまで理解させることは不可能である。しかし、あの人が言ってることだから間違いない。従って行こうというように信頼されることはできる。という意味だそうです。政治家は須らくこれを目指すべきであると思いますが如何。

岸.
 この、由らしむべし、知らしむべからず、というのは、少し曲解もあるんだろうなというふうに思うんですね。悪いほうに解釈されたりした部分もあります。で、政治家の責任というものについては、時代が変わって、そういう部分の認識も変わってきているんだろうと思うんです。一つは政治家の信頼が揺らいでしまってる部分があるんですね。これはやはり政治家一人ひとりが考えないといけないところだと思うんです。
説明責任ということがよく言われますよね。政治家は常に有権者に対して、説明をしていかねばいけないと思うんです。これは常にやっておかなければいけないと思うんですけども、その中で今行われている代議員制度ですね、間接政治が行われているわけですから、それはそれぞれの有権者が信頼をする政治家が政治を行うということです。で、その行ってきたことに対してまた有権者が判断を下すと、こういう形ですから、その有権者の意思をきちんと踏まえた上で政治家が判断すべきことが多いんだろうと思います。
ただ、今そこに困ったことにマスコミが入ってきたということがありますね。有権者の目というものがどうしてもマスコミに左右されてしまう。で、政治家の説明力がマスコミよりも強ければ、問題はないんですけども実際にはマスコミの方が強くなっている、このことがいろいろな問題を巻き起こしているのかなあと思うんですね。ある意味では政治家の責任というのも大きいかなあと思うんですね。
河野.
 難しい問題なんでしょうけれども、要するに民主政治というものはそういう所に大きな課題を抱えているわけですよね。
岸.
 そうですね。特に沖縄で問題になっています防衛、外交の問題なんかはですね、例えば基地の存在についてはこれはもし地域の有権者に聞けば皆ノーですね、基本的には。でも、国として考えれば、誰かが国防を担わなければいけない。これも事実ですし、そういうことで、あまり地域の声だけで国政をやるということとしますと、やっぱり国益を損ねてしまうということもありますから、そこは、特に国政の場合は政治家が責任を持って判断していかなければいけない。その結果についても責任をとっていくということが必要なんだと思います。
河野.
 そういうお考えの政治家ばかりならね。そうでもなさそうに見える人もいますね。
岸.
 やはりそのそれぞれの選挙戦のときに、基地を撤去しますといったら、皆喜びますよね。でも現実にはそれでは前に進まない。そのことが今起こっているのかなと思いますね。

6. 座右の銘があれば教えてください。

河野.
 それでは、座右の銘を教えていただけたらと思いますが。
岸.
 座右の銘はですね、「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」。これは祖父が、私が就職するときに、書を書いてくれまして、常に誠の心をを持ってことに接する、当たるということが必要だということだと思いますけども、その気持ちを常に忘れずに居ようと思っています。
河野.
 それは立派な銘で、それこそ政治家の皆さんが皆そういう銘をそれぞれ持って頂きたいと思いますね。
岸.
 そうですね。
河野.
 それではお疲れのところわざわざ御越しいただきまして誠にありがとうございました。日本にとって危急のときだと思いますので、是非そういうお考えで頑張っていただきたいと思います。                   
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