山口県鍼灸師会広報「鍼友灸友」 bT0                                                                 


 目次。 

1.祝辞  鍼灸マッサージを考える国会議員の会 会長 伊吹文明、
2.「鍼友灸友」50号記念誌に寄せて 参議院議員、 岸 信夫
3.50号記念特集、 鍼灸師法制定に向けて    
4.大師流小児鍼 症例報告              
5.第7回専門領域研修会報告               
6.食を考えるI最終回                
7.くだまつ健康福祉まつり             
8. 懇親会「手作り餃子、 はおちー」           
9.スポーツ活動                   
10.事務局便り                   
11.掲示板                     




祝 辞


鍼灸マッサージを考える国会議員の会、 会長・
衆議院議員 伊吹 文明

社団法人山口県鍼灸師会の広報誌「鍼友灸友」の第50号記念刊行おめでとうございます。永年に亘る広報関係者のご苦労に敬意を表し、この広報誌が皆さまの日頃のご活動の大きな力となるよう願っています。
昨年の参議院選挙での与党の敗北により、衆議院と参議院で過半数を占める政党が異なる事態となりました。このような状況のもと、では、与野党がお互いの党利党略を主張していては政策は実行できず、政治は機能不全となります。つまり、日本の安全、人々の日々の暮らしが危ういものとなります。我々は政権をお預かりしているが故に、つらいことですが野党以上に謙虚に説明、説得責任を果たし、困難を乗り越えねばなりません。
閣僚として、また党幹事長として、安倍・福田内閣を支えながら、このかんの政治状況を内からみていますと、民主党が参議院の多数を背景に、話し合いに応じない姿勢は目に余るものがありました。しかし、それを抑え込めなかったのは、二代の内閣が民意を問わなかった、つまり総選挙の洗礼を受けていないことに起因します。麻生新総理の下で、いよいよ国民の審判を受ける時が来ます。つまり、政権選択の民意を問うということです。国を預ることは経営と似ています。自由な資本主義での経営、社会主義者も含んだ理念のバラバラの政党の経営、共産主義の経営のどれをとるか。また、売上げを考えない経費の支出を宣伝する経営か、つじつまの合った経営の選択でもあります。
ところで、先般来、露呈したアメリカの金融危機は、住宅バブル崩壊によるものでした。モノ作りより、金を動かし差益を得る経済は、矜持を持たぬ人間がこれを動かす時、モラル喪失とバブル崩壊を生じます。十年前の苦い経験から、日本の金融機関の資産内容は健全で、決済システムにも不安はありません。しかし、輸出の先行きは他国の不況で苦しく、消費や設備投資は株式市場低迷による資産価値の低下で予断を許しません。皆さんも暮らしの将来に不安を持っておられると思います。この不況の予感を押さえ込むため、政府与党は二度の経済政策により、総額40兆円の事業規模の対策を打っています。これらを実現するための補正予算、21年度予算、税法について、民主党も党利党略を捨てて協力し、迅速に国会を通過させこの「生活対策」で国民生活と日本経済を護りたいと考えています。
本格的なしょうし・長寿社会・人口減少時代が到来しても、安心して医療が受けられる日本であるためには、医療・福祉制度の改革を急がねばなりません。永く国民の間で受け入れられてきた東洋医学についても、疾病の原因と治療効果の因果関係の究明を進め、将来においても安定した治療方法としての立場を確立していただくことが大切な課題となりましょう。そのためにも、先生がたには一層のご研鑽をお願いします。
我が鍼灸マッサージを考える国会議員の会も、真面目に努力されている鍼灸師会の皆さまの、日々の暮らしをこれからも護っていく決意です。
結びに、山口県鍼灸師会のご発展と皆さまのご健勝をお祈りします。







「鍼友灸友」50号記念誌に寄せて。


参議院議員 岸 信夫。



「鍼ゆう灸ゆう」45号において、鍼灸を新しく医療分野として確立させる必要があるのではないかと、東洋医学の位置づけについて述べさせていただきましたが、鍼灸治療に対する関心は、国内外を問わず急速に上昇しております。

 鍼灸治療は、そもそも、中国から伝来したものであります。その後、繊細な日本文化の中で育まれ、独自の発展を遂げてまいりました。杉山和一による技法は無痛刺入を実現し、またふく診法など日本独自の診断方法を編み出しました。
このように、鍼灸は日本文化の中で立派な医療技術として確立されてまいりました。明治以前は漢方薬とともに医療の中心をなしておりましたが、戦陣医学の必要から西洋医学に替わり、こんにちに至っております。

そのような状況の下、救急や急性期に力を発揮する西洋医療が慢性疾患や末期医療では必ずしも患者ニーズに合致しないのではないかとの疑問を投げかけられています。欧米では、1970年代から補完代替医療に対する関心が高まり、米国においては国立衛生研究所内に代替医療研究室が設立され、1998年、国立補完代替医療センターとなり、予算も設立当初の10倍取ったなど、近年、統合医療に対する概念が大きく変化しています。

 このように、統合医療化が進み、それとともに高度な医療知識、技術が求められ、鍼灸師の位置づけも重要な問題になってまいりました。そのような経緯の中でわが国の医療制度の見直しの必要性が出てまいりました。あん摩、マッサージ等と一括の身分法を鍼灸専門の身分法に改め、それに伴って医療制度、教育制度の再構築を行う必要があります。
 
しかし、医療の普及及び向上に寄与でき、国民の健康な生活を確保できるように患者側に立った目的が明確でなければ、制度の改正は難しいと思います。現行法の問題点をもう一度探りながら、行動を起こす必要があります。鍼灸師法の制定は、60年前の日本鍼灸師会の発足のときからの悲願であります。鍼灸治療が真の医療として確立され、鍼灸師の身分法が現代医療の中で高いレベルに位置させる為に今後とも努力してまいります。


                                     


第50号記念特集。

鍼灸師法制定に向けて


我が「鍼ゆう灸ゆう」もお陰様で記念すべき第50号を迎えることができました。これもひとえに会員の皆様方のご協力、ご指導のたまものと存じます。これからもよりよい広報となるよう努力してまいりますので、引き続き、原稿執筆など、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
さて、我々鍼灸師は、今、どのような境遇に置かれているのでしょうか。?一度しっかりと認識をしておく必要があると思います。と申しますのも、業団として行政や議員に交渉するにも、その会員の意識がバラバラでは、説得などできようはずがないからです。現状を正確に把握して初めて議論が出来るのだと思います。なぜ、「鍼灸師法」が必要なのか。もっと言えば、なぜ、鍼灸師を残す必要があるのか、なぜ、日本の鍼灸を残さなければならないのか、というところまで我々は議論しなければならないと思います。そうでなければ、法の制定も日本鍼灸の世界への発信もできません。我々自身が認識していないことを他の人々に説明することは不可能だからです。しかし、まずは、現状を認識し、鍼灸師法の必要性を共有するところから始めなければなりません。
前号で鍼灸師法についてのご意見を募集させていただきました。それに、多くの先生方から応募がございましたので、ここに掲載させていただき、皆様方のご理解を深める一助にしていただければと思います。



鍼灸師単独法制定についての私見。

社団法人北海道鍼灸師会 会長、 大湊隆次郎、

 日本鍼灸師会設立の目的、さらには悲願と云っているが、会員が本当にそう思っているだろうか。会員一人一人の意識はどの辺にあるのだろうか。皆が悲願とするならもっと機運は盛り上がるだろうし、盛り上がりがあれば、執行部は当然それに対する方策を講じなければ批判の的になるだろう。
 果たして現実は,ふえ吹けど踊らずではないが、鍼灸師法推進委員会を作って検討しても中々次に進まない、会員個々人が意識を一つにする集団になっていない。集団での意識とならなければ、こうした大きな事柄の実現は難しい。
 私自身、日鍼会の役員に名を連ね、いきなり師法推進委員になり改めて単独法に対する認識を新たにしました。それまで北海道での単独法に対する関心はそれ程でもなかった。どう民性からかのんびりとした感覚で、それ程切実には捉えていなかったというのが実際である。そこで今は事あるごとに役員にも会員にもその意味と必要性を訴える事で周知を図り、会員に理解して貰い、意識改革を促している最中です。本道の会員一人一人が単独法は絶対必要だと云う意識を持てば、幸い連盟の活動も古くから行っているので一気に議員に働きかける体制は整っています。このような地方組織の体制と、他方中央の取り組みが一体となれば運動自体はそれ程難しい事ではないとの認識でいます。
 問題は同業他団体の考えですが、これもある程度の時間をかけて理解を取り付ける様に常に働きかけて行く必要が有ると思います。
 地方師会の盛り上がりと建設的な提言、中央での対他団体、また行政への積極的な働きかけと、具体性を持ったタイムスケジュールの策定とその立場をわきまえ協力して事に当ることが急がれている。
 兎に角少しずつでもその実現に向かって歩みを進める様に皆の意識と協調が無ければならない。悠長なことを言っていると思う人もいるだろう、しかし、実際に政治連盟もない、政治家とのつながりもない。そうした師会の組織力で、本当に単独法の実現を目指しているのか。?本当にそれを望んでいるのか。?
 多少時間をかけても皆が一致団結し、一体となって、確実に実現に向けて確かな歩みを続けて行きましょう。



日本と世界の これからの鍼灸


社団法人岡山県鍼灸師会 会長 内田輝和。

2004年10月全日本鍼灸学会国際副部長としてオーストラリア、ゴールドコーストで開催された世界鍼灸学会連合会(WFAS)の第6回学術大会に出席した。役目という立場で始めて参加したのだが、今でも鮮烈に思い浮かべるのが、中国の鍼灸の取り組みである。
世界160カ国で行われている世界鍼灸であるが、当時20カ国から700人を超える医師、鍼灸師が参加した。その運営の主体は中国であり、政府がバックである。WFASは4年に一度大会を開催し、その間に世界シンポジウムが開催される。2004年大会、2006年ポルトガルシンポジウムいずれも参加したが、中国はその中で運営への主要メンバーを都合よく決定して、鍼灸ライセンスや治療方法を世界統一しようと計画しているようである。しかし、日本はじめ世界は独自の鍼灸治療があるので、中国の計画に対しては抵抗する必要がある。
しかし、ある程度の統一は起こっている。その一つのたとえは経穴の統一であった。これからは安全面のことなど議論されるであろう。これらのことを踏まえてみても日本における鍼灸の位置についても考えておかねばならない。
それが鍼灸の単独立法である。河野先生が力説しているごとく、日本鍼灸を発信させるにしても日本での位置づけを明確にしていく時代であろう。世界大恐慌の波が日本にも押し寄せてきている。その中で国民の健康を守るにも、医師不足であり医師養成校を増やすときにきていると、舛添厚生労働大臣が発言している。その諮問機関がコ・メディカルの力で医師不足をカバーしようとの案も出ていると聞く。鍼灸は人間に備わった自然に治す力を引き出す。鍼灸で身体全体が治り、病気にかかりにくくなる。この魅力が広く伝われば、この世界不況の今こそ鍼灸の需要が高まるであろう。ドイツでは民間の保険会社が鍼灸料金を支払う。それは手術などより鍼灸のほうが効果的な場合もあり、また鍼灸が安価でありながら治せる病気も多いことが分かったからである。そのうち日本でもそのような時代が来るかもしれない。光ありと思い、ペンを置く。




待っていたら潰される。

大阪府、大師はり灸療院 谷岡まさのり。

 日本鍼灸師会の初代青年部長吉村幸男先生が、40年前に「鍼灸医師法」をつくらなければならないと会合のたびに熱く語っておられた。今では、あれほどの情熱をもって語り続ける人が少ない。特に若い人で、そのように主張する人が少ないのが気になる。
僕は、政治活動に向いていないから、教育、臨床研究の面で支援したいと考えている。鍼灸医師法を制定するには、教育制度を改変しなければならない。現在の鍼灸学校で教える専門科目の内容は、6年間かけて教えるほどのものではない。漢方概論は、百年前と変わらない。いや千年前と変わらない。これでは発展がない。発展させるには科学として対応しなければ進展・発展できない。陰だ陽だ、邪気だ正気だと言っていても、対診をほとんどしないから判然としない。臨床において、名人が亡くなれば、また、最初から土台を築いていかなければならない。これがもったいない。
これからは、学生や後輩に鍼灸の面白さや楽しさを伝えていきたい。体調不良を訴えている学生たちに、一本のはり、一箇所の灸で身体が変化することを実感してもらいたい。鍼灸の伝承は、口頭理論ではなく手から手へ伝えるのが一番確実である。もっとも下手をしたら逆効果であることも重々注意したい。また、生体の変化をとりあえず物理的に観察し、記録していきたい。それが教科内容の充実に役立てば幸いと考えている。先の長い話ではある。
そこまで待っていたら鍼灸師はつぶされてしまう。そうさせない為にもいつでも政治行動への協力ができるよう腹積もりだけはしておく。



鍼灸師法に思う

社団法人 広島県鍼灸師会 副会長 杉原朝香。

 鍼灸師法について、いつ頃から言われ出したのだろう。GHQに撲滅されかけた鍼灸治療は、とにも角にも「あはき法」という形の中で残された。
 法律によって生まれる権利と義務、身分の保障等あるはずなのに、実際は殆ど関係なくやってきている。
 しかし、田舎といえどもネット等、マスメデイアの充実により、鍼灸治療を受ける患者さん達も以前と比べ、様変わりし始めているのが現状である。
 そのような中で、我々鍼灸師は何をすべきであろうか。
 まずは、マスメディアに翻弄され何千年も変わらず、継承し続けられている東洋医学の真理から生まれた学と術を損なわないことである。
 この部分が損なわれたものは、はりではなく針金となり、灸ではなくただの火傷、となってしまうのである。
 鍼灸師法がこの東洋の学と術を制限するようなものになったときは、鍼灸治療を行う最善の人達と自負している鍼灸師は、太古より脈々と受け継がれてきた人類の財産に対し、どう顔向けするのであろう。
 と言っても現在の「あはき法」が、東洋医学の学と術を十二分に発揮できる法律かと言えば、それは明らかに否である。
 しかし、この「あはき法」のなかでいままでやってこられたのは、世間が、医学界が、挙げ句の果ては鍼灸師の大半が、東洋医学の学と術に対し、あまりに無関心だったからではないか。とにかく生活の糧のためにおこなっているのであって、患者さんのために少しでもスキルアップしようと言う気が伝わってこない。だから、寝た子を起こすなと言う意見が聞こえてくるのではないか。
 鍼灸師でありながら、自分の子どもには治療をしないと言うやからを知っている。ペーパー鍼灸師ではない。治療院としては大層流行っているのである。何故と聞くと、「そんな痛いことを自分の子どもには出来ない。」との返答が帰ってきた。もう一つ、スポーツ鍼灸の勉強会をしたとき、講師が連れてきたモデルがはりのとき身体をこわばらせている。何故って、はりが痛くて怖いのである。それでもはりは効くから、今まで我慢してやってもらっていたのだ。
 この様に、鍼灸自身は素晴らしいのに、扱う鍼灸師のレベルが低い、受ける患者さんも鍼灸に対して情報不足、それを見守る医学界は無関心だった。これが、今までだったと思う。
 そんな中、医療保険で頭打ちしている医療業界がいろいろな意味で関心を示しだし、患者さん自身のニーズも少しずつではあるが高まりを見せてきている。
 肝心の鍼灸師は、学と術のこととなると会場はお寒く保険や経営の会場は熱気を帯びている。
 鍼灸業界にビジネス化が、今起きている。
 しかし、鍼灸は医療である。医療であるためにはまず何をしなければならないのか、ビジネス化していく鍼灸医療に身をまかせるのか。
 日本という国は、民主主義で自由な国だ。仕事の選択は自分で出来るのだ。嫌々仕事をしている輩が多すぎる。やる気がない、仕事がつまらないのなら、さっさとやめればいいのだ。仕事に誇りを持っているからこその不満があるのなら、その不満を解消させるために戦えばいいのだ。戦って負けて負け続けても、誇りと気概は守れるのだ。
 どうしても今の仕事に誇りが持てないのなら、少々のひもじさと少々の不自由さと少々の大変さを我慢すれば、職業選択の自由を行使できる。その覚悟さえあれば何でも出来るのだ。
 誇りを持たずに不満ばかり言って戦わない人は、物欲拝金主義から生まれた「豊かさ」にしがみついて、失う恐怖に怯えて暮らしている。マイホームやマイカー、家族旅行やブランド品、子どもの塾通いや家族揃っての外食がある生活を守るために、人間にとって大切な自分の気概や自分の仕事に対する誇りを捨てている。
 「負け」組に対する優越感と、そこへ転落してしまったときの恐怖のために、気概や誇りを捨ててしまう人こそが本当の負け組ではないのか。
 自分の能力や可能性を信じられず、なんでそんなにちょっとした貧乏や失敗に怯えるようになった人間が増えたのだろうか。
 このようなときに、鍼灸師法制定に向けて動くことは、本来大変危険なことでもある。
 鍼灸師の殆どは無関心、法律の骨子を作る厚生労働省は、西洋医学のプロフェッショナル集団。最終裁決をする頼りにしなければならない国会議員と来たら、ご存じの通りである。
 しかし、グズグズ言っていてもしょうがない。これはやらねばならないのである。ある意味単独立法は、鍼灸師の夢なのだ。人は夢を持てる唯一の生物なのだ(サルに聞いたことがないので解らないが)。夢は実現に向けて努力しなければ、ただの脳のざれごととなってしまう。
 最後に、鍼灸師は患者さんと鍼灸医学に対する責任を生むという観点からも、鍼灸師法の中に免許更新制を導入するくらいの気概を持って挑んでほしい。


鍼灸をどう守るかは、どのように学んできたか

社団法人 神奈川県鍼灸師会 広報・企面部部長 下田代純一。

 2008年IO月1日付の毎日新聞に、驚くべき事件が掲載された。
 『まち針で無資格はり治療』口コミで全国3万人"施術"』
 (新聞記事引用)
 まち針を使って無資格ではり治療をしていたとして、座間署は30日、座間市補武台3、鍼灸院経営の宮原敏枝容疑者(57)を、あんまマッサージ指圧師等法違反(無免許)容疑などで逮捕した。口コミで全国の延べ3万人が『治療』を受けていたという。
 調べでは、宮原容疑者は昨年8月〜今年5月、経営する『神天治療院』で、免許をうけずに約20回、はり診療をするなどした疑い。宮原容疑者は裁縫用のまち針(長さ約5センチ)を使い、服の上から数十ヵ所も刺す独自の方法で施術。女性患者から昨年12月、同署に相談があり発覚した。宮原容疑者は調べに対し、まち針を使う方法を『自分で編み出した』と供述している。
 県鍼灸師会の伊藤会長は「そんな方法は、はり治療ではなく、針を刺しただけ。衣服の上からという方法も、今はおそらくあり得ない」と話している。
同署によると、治療院は97年ごろに開設され、『頭痛や生理痛に効く』とうたい、患者は女性中心に2000人。料金は初回5000円、2回目以降は4000円だった(以上記事引用)
 
当然の事ながら、この事件の無資格者は逮捕されたが、その直後から伊藤会長はこの事件の対応に追われた。
 そしてまた一つ、無資格者による危険な行為が招いた事件が発生してしまった事に愕然としたと同時に、国民を守るためにも、鍼灸の定義を盛り込んだ『鍼灸師法の制定』を、早急に検討すべきだと改めて感じた事件でもあった。
今回のように、無資格治療に対して行政が取り締まりをしてくれるのであれば、特に問題もない。しかし、巷には、整体やカイロといった治療を目的とした無免許者が氾濫し、医業類似行為と混同したままの放任も見られる現状がある。
 『医業類似行為とわなにか。』そして『我々の身分を守ってきた『あはき法』を直視し、法律の歴史を学び知ることで、どのような間題点が浮かび上がってくるのか。』
すでに直面しているこの問題を課題として捉えることさえ出来れば、『鍼灸師法制定』に向けて、行動するきっかけを得ることが出来るのではないか。そこで、現行法で定められている問題点をクローズアップして見る。まず、現行法の第一条に目的条項が欠如していること、つまり鍼灸を用いて国民の健康を守り保つことに貢献していくという一番重要な部分が欠如している上に、鍼灸の定義と鍼灸師の業務内容も示されていないことが挙げられる。
この点だけを見ても、現行法の見直しをきめた『鍼灸師法の制定』の必要性については、ご理解頂けたのではないだろうか。また、法律では『医業類似行為を業としてはならない』と規定されているが、現行法である『あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき法)』では、主体を曖昧にするかのような『等』という文言が含まれている。

当初は違法である医業類似行為者のうち、『届け出をした者については猶予期間を与える』という行政処置がとられたが本来は医業類似行為をぎょうとすることが違法である事から、届け出された医業類似行為者をタイトルに並べるわけにいかず、『等』という文言にしてしまったという経緯がある。
しかしそれによって、『無害なら非公認の治療行為も許される』という誤解を招き、「免許者と無免許者との違いか判らない』というのが現状となっており、国民はもちろんのこと、我われ鍼灸師でさえも、曖昧なままの法律のもとで治療を行っている形となっている。

さらに行政も、『施術』は「広義(広い意味)では医業類似行為になる」と言い出す始末なので、その境界線を見極めるのは非常に難しいと言える。  
しかし、法律には『医業類似行為』の定義は記載されていないが、医業類似行為が何を意味するのかは司法の場で『昭和29年に仙台高裁で医業類似行為とは、治療・保健の目的でする行為であって、医師・歯科医師・あん摩帥・はり飾・きゅう師又は柔道整復師等の法令で正式にその資格を認められた者が、その義務としてする行為でないものをいう』と示されている。
 つまり、医業類似行為は、資格を持たない者が行う施術であるという趣旨の定義となる。

※法律上の『指圧』とは、カイロ・整体を含む
※あはき法の『等』=『届け出をした医業類似行為者』
※無資格者が整体・カイロを業とした場合は、第1条違反。
※医業類似行為を業とした場合は、第12条違反。
国民は勿論のこと、『国家資格を有する者の施術』なのか、『非公認の治療、つまり医業類似行為』なのかは、行政における国民の窓口となる担当者(行政の末端)まで、その違いを把握し区別する事が出来るのかどうかさえも疑問である。
 このような曖昧な法律であるがゆえに、『害がなければ問題ない。何か効果があれば良いのではないか?』という流れも必然となってしまうかもしれない。
 このままでは、我々の有する国家資格さえも形骸化され、その意味を成さないものとなる恐れがある。

『国民も行政も判断出来ないような、国家資格(免許)の形骸化』

この事があからさまに表面化した出来事が、以前の会報でもお伝えした、平成18年5月の神奈川県厚木市で起きた『厚木市、助成券問題』である。
 厚木市が高齢者を対象に、『国家資格を持つ、はり灸マッサージの施術にかかった費用を一部補助する』というもので「国家資格を伴わない整体・カイロといった分野まで、補助を拡大する方針を固めた」との内容であった。

 厚木市では、『高齢者が継続して利用しているようなので、効果があるだろう』ということで、「健康増進に役立つのであれば」と、規定の正式な変更を検討していこうとする計画を進めていた。これこそまさに、行政によって国家資格を形骸化することに他ならない。
 『無害ならば許されるのか、?何か効累があれば良いのだろうか、?』決してそうではない。医療というものは、有害であり、かつ、有益な行為なのだから!
 治療による作用に効果があるならば、治療による危険が伴うということである。
 その正しい判断と正しい見極めの為にも、国家資格を有する者の施術を最低の条件として、国家資格の意味を確固たるものとした正しい法律の制定は必要不可欠であると考える。

また、現行法では、あん摩マッサージ指圧師と、はり師、きゅう師とが同じ条文で規定されている。
 しかし、あん摩マッサージ指圧師と、はり師、きゅう師とでは、同じ有資格者ではあるが、その性質上異なったものである事は、会員の皆さんであれば、誰もが周知の事実である。
 理論的根拠が異なり、施術方法も全く異なる鍼灸と、あん摩マッサージ指圧を同じ法律で対応することには無理があり、さらには、それぞれの独自性も生かせていないのが現状である。
 また、あん摩マッサージ指圧師も、施術という医業の一部を担っているが、慰安や美容など、リラクゼーションを目的とすれば、無免許者がマッサージを標榜しても、あはき法には名称独占の規定がないため放任せざるを得ないとされる。
 そして19条の規制により、免許を取りたくても取れない膨大な無免許手技療法の蔓延を許している事実がある為、行政による取り締まりは実質上行われていないに等しいのが現状となり、今となっては、無免許者(無資格者)の手技療法によって、治療とリラクゼーションとの境界を明確にすることさえも難しい状況に陥っている。
 
それと同じ条文で規定されているのが、はり師、きゅう師なのだ。鍼灸までもが、医業としての意味合いが薄められてきているのである。
 神鍼会としては、現行法の見直しを上記の事を踏まえながら意見、提案していく方向であり、この会報が発行される時には、すでに全国大会で『鍼灸師法制定に向けて』のシンポジウムも開催され、現行法の見直しが形として見えてきている頃だと思われる。
 このように、現行法の見直しをはじめ、無資格者の起こす事件や助成券問題など、様々な問題が浮上する根本的な原因には、巻頭挨拶で伊藤会長も述べられているとおり、我々が『どう学んできたか』というところにもあると考える。
 学生時代に、鍼灸師について『どう教えられてきた』のか『どう学んできた』のか。そして、『医業類似行為』をどう認識して、鍼灸師としての道を歩いてきたのか。歩いているのか。

かつて『鍼灸』は、『医療類似行為』と教えられ、私達自身が勝手に医療としては認められにくい位置にあるとして捉えていた為、それをそのまま受け止めて学んできた者にとっては、どこかで医療としての自覚や意識が低くならざるを得ない状況だったのかもしれない。
 しかし今では、鍼灸も医療として、医業として認められる時代になり、その地位も責任も重大なものとして受け止め、それを背負って進むべき時が来ている。
鍼灸の未来は我々の未来であり、鍼灸をどう守るのかは、『どう学んだか』ではないだろうか。
 鍼灸の歴史を引き継いでいる我々は、鍼灸特有の性質や優れた点を確認し、現代の医療における位置というものを意識していく必要がある。
 そして、これまで我々の中にあった鍼灸に対する意識と、鍼灸をぎょうとして鍼灸に携わってきたこんにちの意識とを照らし合わせながら、見つめていく必要がある。
 いま我々が鍼灸で生かされているこの時に、この時代に、『鍼灸をどう学ぶべきか』という結論を導き出す時が、すでに訪れていると実感している。



女性鍼灸師について

社団法人岡山県鍼灸師会 女性部会 多田理恵。

最近、鍼灸の専門分野も多岐にわたり、特に美容鍼灸がメディアで多く取り上げられるようになりました。働く女性が増える中,健康や美容に関心が高まり、女性鍼灸師の活躍の場も増えていくのではないかと思います。
今年度、(社)岡山県鍼灸師会に女性部会が立ち上がりました。ここでは、色々な意見や企画を出しながら、普及活動やネットワーク作りを積極的にしていくことを目的としています。また、他県との情報交換をすることで女性部会の充実を図り、普及部や青年部とも活動協力できる体制を作っていきたいと思っています。
今回、第1回目の企画として、ショッピングモール等で一般を対象に、はり灸を知ってもらうためにツボ講座や、悩み相談会等を行っていく予定です。女性鍼灸師による女性の為の相談会とし、心と体の相談ができる場から鍼灸のことを知ってもらえればと思っています。そして、鍼灸のイメージとして挙げられるのが「痛そう」「怖い」が多く聞かれます。そのイメージを変えていくことも必要だと感じています。
ある番組でクレオパトラが金鍼を使用し美しさを保っていた、といっていました。やはり、いつの時代も女性の永遠のテーマは「美」なのでしょう。また、総務省の統計では、100歳以上の女性は3万人を超えているとのことです。健康で長生きも永遠のテーマであると思っています。健康と美容は切っても切れないもので、健康であるから美につながるのだと思います。
岡山県鍼灸師会女性部は、心と身体が健康で美しく元気、をテーマに、他県とのネットワークを広げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。最後になりましたが、私たちの活動が鍼灸師法制定の一助となれるよう頑張りたいと思います。



以上、多くの先生方にその思いのたけを披露していただきましたが、では、業界の牽引役である日鍼会では、このことをどのように考えているのでしょうか。中四国ブロック大会と10月に行われた全国大会から見てみましょう。



シンポジウム「鍼灸師法」
            
 日鍼会中・四国ブロック会議、広島大会 平成20年9月14日

シンポジスト   日本鍼灸師会  副会長 高橋清人。  広報局長 仲野ひろかず。
          山口県鍼灸師会 会長  河野 紘。  島根県鍼灸師会 会長 松崎幹夫。
座長       広島県鍼灸師会 副会長 杉原朝香。  調査部長 寺口かずまさ。
         
  
杉原。
 広島県鍼灸師会副会長の杉原です。それでは最初に鍼灸師法とはどういうものか、我々にとってどのように大切なものかということについて日鍼会高橋副会長より説明していただきます。
高橋。
 日本鍼灸師会の高橋です。鍼灸師法のメリット、デメリットということなんですが、昭和38年に鍼灸師法の請願というのがあるのは先生方、ご存知のことと思いますが、この根幹にありますのは鍼灸師が鍼灸師として、生き残るためにはどうしたらいいのかというのが根幹でございます。ですから、私のようなロートルが鍼灸師法に一生懸命になるよりは、青年部の先生方が鍼灸師として生き残るにはということを、もっと多く議論していただきたいということを前提にお話させていただきます。
 そして鍼灸を医療に、そして鍼灸師を医療人として社会的コンセンサスの得られたはっきりしたものにしていかなければ、われわれは生き残れないのではないかということを当初の先生方はそんな考え方で立ち上がったというか幡を挙げたんだろうと思います。
 そこでメリットとは裏を返せば、鍼灸師が鍼灸で医療人として生き残ることをメリットとするわけですが、デメリットとしては、医療人、医療としてこれを捉えていただくためにはわれわれがもっと勉強して、社会的に認識された医療人になることが課せられたと僕は思っています。
そういった意味でデメリットは我々がもっと勉強せいということに尽きるのではないかと思います。そしてまた、冒頭山崎先生がお話しました保健取り扱いに関しましても、やはり鍼灸師法を絡めた運動にしていかなければいけないんではないかというふうに考えているところであります。
 経過につきましては後ほど広報局長からお話させていただきますが、なぜ鍼灸師法なのかというとここ5年間を見てみますと、はり師の合格率、きゅう師の合格率は10人単位ぐらいの差しかないんです。そういった意味では鍼と灸と鍼灸師という一つの新たなものを持ち上げなければ医療として成り立たなくなるのではないかと私は思っております。
 そういった意味で鍼灸師法という名前でここ何年か皆様方にご協力を頂いているというところでございます。
杉原。
 時間の関係で要点のみということで済ませていただきます。それでは今までの鍼灸師法の制定についての経過説明を簡単にお願いします。
仲野。
 広報局長の仲野でございます。今、鍼灸師法として的を絞ってきたというか、軌道修正しながらやっとここに来て鍼灸師会が出来た意義はなんだったんだと。こう考えると自ずから鍼灸師法を作り上げなければいけない。
愛媛県からもご質問を頂いておりますけれども、手技療法との問題も非常に曖昧なんですが、鍼灸師法を作り上げることが、鍼灸師を残すことにつながるわけで、これは一つの共通項だと思うんですけど、遅きに失しているということを取り上げなくてはいけないだろうと思います。
高橋先生からの強い要望もあって、常任理事会の中でも絶えず進めなければいけない問題だということで 各県の会長とかの考え方を折りあるごとに伺いながら、進めているのが現状であります。
我々は鍼灸師法についてはどうするんだという提案をずーっと続けているんです。ですが反応がないとなかなか進まないわけです。 
これまでは鍼灸師法についてのムード作りをしてきたわけですが、ここに来てようやく各ブロックで、何となくそういった意見に近づくことが出来上がってくるんではないかと感じています。先人たちも願ってはいたけれど、このことを進めるためには議員立法しかないわけで、今、厚労省はどうしたら医療費を減らすことが出来るかということを言ってるわけですから、そうすると議員立法ということになる。
議員立法では何が必要に成るかといえば、各師会で議員レベルで立ち上げていただいて議員運動を進めていかなくてはいけない。マッサージ師会を含めた議員連盟166名だったと思いますけども出来上がってきた。そういう段階で、はっきりとやろうということになれば仕組みを作り直さなくてはいけないと思います。皆様の率直な意見を頂戴しながらやって行きたいと思っています。
杉原。
 それではこれからどう進めていくかについて高橋先生の方からお願いします。
高橋。
 鍼灸師法が出来るための環境づくりというものが是非とも必要なのです。そしてこれは従来、手技療法師法は話題に上ったり下がったりしているんですね。その中でこれから日鍼会としてどのようにするかと言うことなんですけれども、伊吹ぶんめいさんという議連の先生のところへ行ったり、あるいは阿部正俊さん、今議員を辞めましたけれども参議院議員がいたんですけれども、この先生方と話していると業界が一致しなければいけないといわれます。
7者協の中で事あるごとに日鍼会の悲願であるということを説明するんですが、中央レベルで話していると理解して貰えるのですが、地方の県師会レベルではなかなか理解して貰えないので先ほど申しあげた環境づくりに徹しなければいけない。
もう一点は厚生労働省の医事課の方へは毎月2回行ったり3回行ったりします。この中で、鍼灸師会としては鍼灸師法がどうしても欲しいんだということを申し上げているんですが、第1に何が大事かというと、鍼灸師法が国民のためになるということを明確に打ち出さない限り、行政も国会も動いては呉れない。
今後日鍼会としては連盟を使って、一番理想的には、各都道府県師会の顧問に議員をすえていただいて、鍼灸師法の必要性を説いていただくことが議員立法への早道になるんではないかと、この議員立法の手法というようなものも今勉強させていただいております。遅いではないかといわれそうですが、これは新たなことを起こすという考えでこれからも進めていく、どうしても社会的に鍼灸師法が国民のためになるんだということが大きく取り上げられていくようにならなければなかなか行政も政治家も動いてくれないということが現実でございます。手法としてはこれを推し進めていくということです。
杉原。
 松崎先生に今までの発言に対して質問をしていただきます。

松崎。
 現在の法律での問題点、矛盾点、曖昧な点を明らかにし、誤解や混乱を起こしている原因を認識しあうことが必要であると思います。
 現行法は国民のためになっていない。患者のためになっていないと言う問題を拾い上げるべきであります。
 1.なぜ分けなければ成らないのか、分けることの必要性は何なのですか。
 2. 7団体の合意は得られるのか。1番の障害は、?合意が出来ない場合どうするのですか、
 3.分かれた場合それぞれの発展の道はあるのですか。
 4.将来検討委員会では鍼灸は医療でマッサージは慰安であるという方向なのでしょうか。

 
高橋。
 7団体の合意を待っているといつまでたっても成就されないので合意を得られるような状況を作っていかなければいけないと思います。鍼灸医療推進研究会が立ち上がって、非常に活発に動いています。
7者協の中ではマッサージ将来研究会の方に、マッサージについては直接に触れませんが、お金は出しています。WHOで手技療法に対するガイドラインを作ろうという話になっています。これは中国の推拿が中心になっている。本来は柔整師のほうもガイドラインに進めていきたいということはすでに始まっています。WHOで手技療法ガイドラインが進んでくると、鍼灸と手技療法を分けざるを得なくなってくる状況にあります。
 手技療法は医療かという問題はマッサージは医療という立場になっています。介護保険制度の中で機能訓練運動指導員ということで正式に受け入れられている。そういった意味で周りは鍼灸と手技療法はどんどん分かれていく状況です。
 分離して特長を作っていかなければならないわけで、それを担うのが、マッサージ将来研究会であり、鍼灸医療推進研究会であります。
杉原。
 それでは山口の河野先生、鍼灸師法についてのお考えをお願いします。
河野。
 それでは私が個人的にまとめたものを発表させていただきます。
鍼灸の現状。
1.あん摩・マッサージ師、指圧師、はり師・きゅう師法という異業種をひと括りにした法律。
2.医業類似行為と混同されている 。
3.保険治療に医師の同意書が必要。
4.組織率が低い。
5.養成制度や卒後教育が貧弱。
6.スタンダードと成る治療法がない。
現在の利点。
比較的簡単に国家資格が得られる。
独立開業が出来る。
自由な発想の治療が出来る。
制限付きながら保険取り扱いが出来る。
社会的な評価が低いため責任を問われることが少ない。
鍼灸を取り巻く状況。
統合医療化の伸展。
欧米諸国の特許戦略。
医療産業資本の動向。
病院経営の道具、
他の医療系養成制度が高度化。
鍼灸師法の骨子(案)。
鍼灸医師法(鍼灸単独)。
5〜6年制の大学教育。
一定範囲の検査(血液、心電図、エコー等)。
東洋医学的診断による保険適用。
患者(国民)の立場。
安上りで早く良くなりたい。
苦痛がなくて気持ちがいい。
副作用が無くて安全・安心。
科学的に納得できる・
予防重視。
医療費の抑制。
鍼灸師法を制定するための手法。
請願書を手直しして毎年提出する。
はり灸議連の立ち上げ。
西洋医学や徒手的療法との相違、鍼灸師を存続させる必要性をアピール。
インターネットの活用。
毎日交替でブログを書く。

杉原。
 ここで各県からの質問を受け付けます。岡山県の内田先生どうぞ。
内田。
 法務局と単独立法の交渉を年に何回ぐらいされているんですか。
高橋。
 法務局というより立法は国会ですから、そこから話していかなければいけないんです。今いろんな話をしている中で、薬剤師が6年制になりましたね。これについては教育関係から反対が出たりいろいろあるんですね。看護師も大学になる状況です。そう言う意味で、行政には行くたびに話はしています。
今まで鍼灸師法というと業界のエゴじゃないかというふうに捉えられていたんですね。ですから先ほども触れましたが、国民が鍼灸師法がこういうことで必要で安全で安心な鍼灸の治療を提供できるというものを前提にしないと行政も国会もなかなか動いてくれない。先生の言われることを念頭に置きながら交渉しています。
内田。
 WHOで手技療法のガイドラインを作るという。そうすると鍼灸でもやるんではないかというお話があったんですけれども、中国は鍼灸の世界統一をしようともくろんでいるんですね。そんなことになると大変なもんで、日本はそういう意味では単独立法で行きたいですね。
高橋。
 WHOの話に2つ問題があります。
1. こう労省内に鍼灸の窓口がない。仕方なく学会の方へ話が行ってしまう。
2. マニュアルセラピーガイドライン作成についてもじゅうせいのほうは、じゅうせいでやっている。按摩マッサージのほうも中国が中心になっては困るので日本も積極的に出ようということに成ったようです。
先駆けてWHO経穴委員会があったがこれもやはり業界として積極的に参加して何とか日本の主張をしていきたいと考えています。
杉原。
 それでは愛媛県。
いたや。
 鍼灸師法は7団体の合意がなければ前を向いて進まないのではないか、1団体でも反対があればこれは成立しないのではないかと私は思っています。愛媛県で、他団体と話をすると、三療は一つだという意識が強い。鍼灸師法、手技療法師法に分かれると、マッサージの方は置いてけぼりをされるのではないかというニュアンスを感じています。我々はマッサージ師の方を応援することで、理解を得られるのではないかと思います。
高橋。
 我々は手技療法師法にどんどん協力するから、我々の鍼灸師法にも理解してくださいというのが、スタンスなんです。
今、手技療法の中で、タイスパと言うのがけい産省あたりで、先の小泉首相が確約してきちゃったわけですね。ところがその問題について厚労省に行っても、これはけい産省の問題だからと逃げられる。そういう中で日鍼会としてはマッサージの無資格者が広がることには反対であるということを明確にしています。
 7者協の合意が得られなければならないというのはこれは、イクオールぎょう団のエゴであると取られてしまっていたんです。今まで。そういった意味で視点を変えて、鍼灸師法は国民にこれだけの利益を増やせるということをやっていくことが先決じゃないかと、もちろん7者協の合意は事あるごとに話をしています。
杉原。
 高知県。
国澤。
 ぎょう団のエゴと取られてはいけない。というのはその通りで、法律というものは国民のためにあるものなので、国民の利益につながらないといけない。国民の利益が追求できれば7者協の合意は関係ないと僕も思う。法律を変えるということになるとどの部分をどのように変えるのか明確に打ち出していかねば成らないと思います。
 鍼灸師会が鍼灸師法をリードする立場であれば、すでに鍼灸師法の草案を7者協や議連に提示するという部分はもうあってしかるべきだと僕は思う。そういう戦略は持っているんですか。

高橋。
 法律は専門職が居るわけで、我々が求めるのは、新しい法律の中で従来の鍼灸師の権益を守らなければいけないわけで、尚且つグレードの高い社会的な地位を位置付けたものにしていかないといけないということで議連で説明しているところです。
 従来の法律で問題点はあるのかと議員は言うんです。手技療法と鍼灸は明確に違うということ、もう1点は医療関係者に必要な目的条項がない。そしてあはき法には等という言葉がある。これは総務省の職業分類の中に鍼灸師は国家資格のない療術師と一緒の中に含まれている。やはり、我々が個々に接触する細かいところからやらないと駄目なんだということが分かってきます。
杉原、
 それではシンポジストに対する質問ですが、山口県の河野先生に対するものは山口県のホームページの掲示板に書き込んでいただきたいと思います。今回は日鍼会の先生に対する質問をしてください。
河野。
鍼灸専門の議連の立ち上げについてはどういうふうに考えていますか。
高橋。
議連の先生方は鍼灸とマッサージを一緒に考えています。鍼灸師会ですというと、鍼灸マッサージ師会のかたですねと秘書に言われるんです。各師会の顧問に鍼灸師法について説明して欲しいですね。
河野。
議員の政策秘書を集めて勉強会を開くつもりはありますか。
仲野。
あります。各師会で政治連盟をもたない師会は早急に作って欲しい。社団法人は政治活動はできないので、政治連盟が要るんです。
高橋。
鍼灸師は危機感を持って欲しい。暫く前は、鍼灸は残るけど鍼灸師はなくなる、と、まことしやかに囁かれていた時がある。そういったふうにならないためにもっと鍼灸師が危機感を持って取り組まないと本当に衰退してしまうんではないかという思いでやっているということを理解して欲しいですね。
座長交代、寺口。
 それでは会場の皆様から質問、意見を受け付けます。
真鍋。
 鍼灸師法の事を言い出したのは古い話で、当時とは事情が変わってきています。今は現代医学に対する反省から、東洋医学もやらなくてはいけないということで、医学においても、薬学においてもコアカリキュラムの中に取り入れられています。薬学のほうではコアカリキュラムだけでなくて学部がすでに出来ている。漢方薬学科というのが薬学部の中にあります。そういう時代になっています。しかし最前線の医療の現場では市民権が全然ないという状態です。でも全体的にはそういう方向に動いているのは間違いないことであるから、鍼灸師もそういう社会情勢に鑑がみて態度を決めていかないといけませんが、先ほどから話を聞いていると、視点の置き方が少しづつずれているように感じます。河野先生がいってることが一番理想的であると思うんですが、学校制度を改めて鍼灸医師を目指すという方向で行くのか、あくまでも業界の権利を擁護するための手段にするのか、はっきりと分けてやる必要があろうかと思います。皆で知恵を出し合ってやろうではありませんか。
石破。
 鍼灸の症例報告をどんどん積み重ねていくことも大事であると思います。
高橋。
 鍼灸大学が増えてきています。鍼灸師のグレードアップするには非常に良いチャンスだと考えています。是非全国的に声を上げていただきたい。
河野。
 先ほどインターネットの活用を申し上げましたが、鍼灸師法に特化してブログを設けている師会は無いように思います。是非作って欲しい。取っ掛かりとして山口県の掲示板に投稿して下さい。
仲野。
 若い人はどうなんですかね。そんな時代じゃないんだよというような意見が出てきてもよさそうに思う。若い人の中にも今のままでいいんだというのが結構いるんです。3年間で資格が取れる。免許更新制度など馬鹿なことはやめろ。それが本当にいいのかどうか、若い人の意見が欲しいんです。専門学校を4年制にしろとか、広報でも意見を待っています。
杉原。
 我々も要求するばかりでは無くて何をやっていけばよいのかということを各県で持ち出して、この法律を制定して行こうと、とりあえず山口の掲示板を利用して意見をどんどん出していただきたい。あちこちにあるよりは山口にまとめたほうが良いと思うので十分活用して欲しいと思います。




第4回日鍼会大会、シンポジウム『鍼灸師法』
    
 シンポジスト  日鍼会 学術局長 小松秀人。 埼玉県鍼灸師会副会長 山口 智。
           日鍼会 保険局長 大口俊徳。 
座長        日鍼会 広報局長 仲野ひろかず。



座長。
「今の相馬体制が出来上がってから3期目に入っています。その間この問題について沢山の意見が出され、特にブロック会議を通じて各師会の役員だとか皆さんの意見がまとまるまでには、いっていないにしても問題点が浮かび上がってきています。それで本大会ではシンポジウムを通じてこの問題をクローズアップしていきたいと思っています。関東ブロックではこの問題を取り扱っているようですし、あるいは日鍼会で一番やっていなければいけない問題だということで、いろんな先生方から指摘がありますし、これを受けて理事会では鍼灸師法に関して何とかしなければいけないというような話ばかり出ます。本日のお三かたの先生方は大変適任で、小松先生は学術局長をされていますけれども、東京都の副会長もされていますしシンポジウムに関わりながら、しっかりと国民の目線から見た鍼灸をこうしなけりゃいけない、患者サイドから見た鍼灸をこうしなけりゃいけないと、こういう形で今日はシンポジストを務められますし、山口先生は全日本鍼灸学会の責任ある立場で、埼玉県で鍼灸師会の副会長をされていますから、皆さんご存知のように、学術の面からこの問題に迫っていただきます。そして大口先生はご存知のように保険の大口といわれるようにたいへん忙しく日本中駆け巡り、保険の諸問題を解決しながら、鍼灸師法の持つ問題点をしっかりと自分自身で進めているわけで、法的な面から話を進めていただきます。
シンポジウムに先立って、本問題について日本中にこういうことをやらないといけないと理事会でも高橋副会長が進めていますので鍼灸師法が如何に大事であるかについて大変変則的ではありますが先ず高橋副会長に発言をいただきたいと思います。
このような挨拶があり、高橋副会長が発言されました。
高橋副会長。
「世界的にも鍼灸については非常に積極的に取り組んでいる様子が分かると思います。日本だけが遅れているという現実です。そういうことを考えますと鍼灸師が鍼灸を守っていかなければいけない、それが第一でございます。第2はやはり鍼灸を医療として明確な位置付けをしなくちゃいけない。(中略)鍼灸師が生き残るためにはどうしたらいいかという危機感から起きた話であります。ですから、一番お願いしたいのは若い人達がこの問題に真剣に取り組んでいただかなければいけないんじゃないかということから始まった訳であります。」と結ばれました。ついでシンポジストの小松先生が発言されました。
小松。
「個人的に二つあるんですね、一つは資格として本当に世の中に生かされて居るのかどうかということを真剣に考え始めてきている人間なんです。
私は鍼灸師としての社会的地位がもっと確固たるものであるべきことを国民に知らされるべきではないかということが1点。2点目は日鍼会の悲願であったといううたい文句でしたけれども、私の勉強不足であるかもしれませんが、私が日鍼会に入会してから約30年経ちます。が、このテーマをおもてに出したコミニュケーションがされていなかったという記憶があります。ですからこの時代になってここを真剣に考える時代に成ってきたんじゃないかなと、そしてこの組織が熟してきたんじゃないかなと思ったのが2点。(中略)今後日鍼会としてこのテーマについてどのように進むべきかということをですね、きちっと示していかなければならないんじゃないか」という思いが強くあると述べられ、昭和38年に出された請願書に及び
「この請願書の内容なんですが、「医療法」を改正し、その第1章に、はりきゅう(以下、しんきゅうという)治療所の規定を置かれたい。健康保険法としてしっかり位置付けたい。217号の規定は昭和45年に分離しているわけですが、そのことについて請願書の理由として述べていることは、治療の本質の相違、行政取扱上の相違、学問体系の相違、治療技術の相違、独立による向上、今のこの時代になってもですね生命力のある請願だと思います。このことに、私も見解の相違は無いんです。」との認識を示されました。
そして関東ブロックにおけるシンポジウムの内容を紹介され
「関東ブロックとして私はこう考えるというわけで演者として神奈川県鍼灸師会、広報部長のしもたしろ先生、東京都鍼灸師会、学術部長三浦先生、埼玉県鍼灸師会、総務部長加藤先生にそれぞれ二年連続演者として立っていただいております。(中略)しもたしろ先生は現行法の問題点は改めて等ということにポイントを当てて、様々な問題点を出していただきました。あん摩、マッサージ、指圧師と同じ条文で規定されていると、堂々とこのことをおもてに出して行こうではないかと(中略)この問題をどのように解決していくかということではしもたしろ先生はこのような提言をされました。『平等分離』聴きなれない言葉かもしれませんが、同じ資格を差別するわけではないんだと、曖昧で迷惑がかかっている国民に対して、非常に迷惑がかかっている事例があるではないかというところで、平等にきちっと資格を分けていこうではないか。と提言されております。
東京都鍼灸師会学術部長の三浦先生は、地域医療の一員に入るには確固たる鍼灸師の資質が重要である。そして国民から、あるいは地域社会から信頼されるにはきちっと勉強する体制を作る。で、自分たちの資格は自分たちで守っていくということをアピールしていくには生涯研修に参加して、その制度を構築して、きちっと県師会で取り組む姿勢が大切ではないかと。(中略)
埼玉県鍼灸師会、総務部長の加藤先生は時代的に熟してきたところに日鍼会と法人は分かれたままで、もう余り時間は無いよ、急がないといけない。そしてベクトルをアップしてやっていくには当然同時に戦略的な方法が出てくるだろうと、提言としましては法律が出来るまでのお話をして頂きました。本会によるこのようなテーマについての法律制定には議員立法が妥当だろうというということを提言されています。」
そして日鍼会の役割として「私たち自身から、業界から発信していかないと出てこない話です。国民の世論に反映していくことが日本鍼灸師会の大きな役割ではないかと考えている(中略)日鍼会の会員だけでなく多くの鍼灸師を取りまとめていくイニシアティブが必要であると考えています。(中略)国民に安定した鍼灸医療を提供するための法制定を目指すべきである。もっと多くの国民が鍼灸医療を容易に受けれるような環境づくりを法制定の中に示そうではないか、という意味でございます。このような状況の中で考えることは提供する鍼灸師が社会的地位向上と真の医療人として確立を目指す、そしてぎょうだんとして一番大切なことは就業安定、開業権利の確保を目指す。そういった3点のコアとして鍼灸師法の制定に向けて頑張ろうではありませんか。」
と締めくくられました。

そして山口先生は学問的な立場から、極めて論理的に鍼灸と手技療法の相違点を列挙されました。
「日本鍼灸師会は鍼灸の専門団体でございます。鍼灸に関する診療、教育、また研究等は日本鍼灸師会が先頭に立って、リードしていかなくてはいけないというのが私の持論であります。」
「私は鍼灸と手技療法との相違点についてこれからお話させていただきます。
東洋医学の治療法は薬物治療、漢方薬、せんじ薬ですね。と鍼灸の治療に大別されます。仏教伝来に遅れること10年ですから、あすかちょうの時代からこの治療法というのは日本において広く国民に親しまれている治療法であります。」
「一連の手技療法でありますあん摩、マッサージ、指圧でありますが、あん摩法、導引法については長い歴史がありますが、マッサージについては明治以降にフランス、ドイツから伝来されたものであります。指圧は日本独自に、大正、昭和に発展したものであって、正に東洋医学の治療法とは異なるということが、明解になっております。」

「はり灸の治療というのは局所だけでなくて全身状態を正常化していく、伝統医療の長所特質というのは、やはり基本的には全人的な医療であるということ、つまり疾病や症状についてももちろん効果が期待できるわけでありますが、全体の機能を調整していく生理学的にはホメオスターシスな反応ではないかと考えられております。」
「最も大事なところは自律神経や免疫に及ぶということでありまして、通常の鍼灸治療を行うことによって、疾患や症状が改善傾向に向うとともに全身の機能も正常化していく、自律神経を介して、あるいはホルモンを積極的に正常化の方向にシフトしていく、これは現代的西洋医学の治療では全くない方法であります。」

「そこで我々は慢性機能性頭痛の一つであります緊張型頭痛の瞳孔反応を示したものであります。左側は鍼の刺激、右側は側圧の刺激であります。光刺激前瞳孔面積といっていわゆる瞳孔の大きさでございますが、はりをすることによって、はり刺激直後から瞳孔の面積は下がって参ります。同時に側圧の刺激も同様の方向を示すんですが、はり刺激に比べて反応時間に差異がある。側圧刺激のほうが遅れているというようなことが分かってきています。」
「現行法のあん摩、マッサージ、指圧が同じ範囲内にあるということは極めて矛盾があるというふうに考えているわけであります。このように学問的な体系あるいは鍼やお灸の意義、あるいは治療の本質論が異なるというようなことが、伝統的な歴史においてもそして現場の臨床においてもまた作用機序においても異なっていることが明らかになっております。」
「視点を現代医療に当てまして、現代西洋医学の中で鍼灸が果たす役割はどうなんだろうかというようなことについてお話をさせていただきます。」
「私どもの大学病院の専門医が見て、これは鍼灸をお願いしたいという診療依頼を持ってきた患者が半数を超えて参りました。開設当時は10%、20%とやはり現代西洋医学を専門とする医師は鍼灸に対する認識は低いのが現状でありました。いろいろな活動を行う中で、徐々に専門医の認識が変わってきて、今や半数以上が私どもの外来に専門医が見て、これは鍼灸をお願いしたいという患者が増えてきております。」

「重篤な疾患が潜んでいる入院患者も31.1%と約3割はこうした重篤な疾患についても鍼灸治療の果たす役割はきわめて大きいということを痛感しております。どういう診療科から来たものかというと神経内科がもっとも多く、リュウマチ、膠原病、神経外科、整形外科、リハビリテーション科、心臓内科、代謝・内分泌科など多岐にわたっています。」
「現在の医学界で大変注目されております、QOLの向上も明らかになってきております。慢性関節リュウマチ、あるいは人工透析の患者さんあるいは非特異性腰痛の患者を指標にQOLをSF36という新しい国際的指標で見ても十分に心身ともにQOLの向上が期待されております。一方鍼灸の治療は基礎的な実験からも快適性の高い治療であり、満足度の高い治療であるということであり、これからの時代の統合医療において、果たす役割りは大きいと思います。」
「現代西洋医学の治療の中に伝統的な東洋医学の治療を中心としたものを組み入れて行く、より患者さんに満足度の高い医療サービス、患者さんサイドに立った診療を行っているというような時代が到来しているといっても過言ではございません。」

「鍼治療そして手技療法でありますマッサージは、違う分野の中で位置付けられているということ。海外においてはそれぞれの特質をそれぞれ生かして行きなさいという、日本の現行法とは異なっている、世界的国際的にはこういうふうに動いているんだというようなことでございます。」
「私もアメリカを視察して参りましたが、かなりいろいろな医科大学、いろいろなところで統合医療に対する診療研究が進んでいるというのが現状であり、中国、韓国、あるいは日本という従来からこうした東洋医学の診療を組み入れている国と違った意味で新しい形の上で伝統医療の発展を見たような気がいたしました。」
「昭和38年に先人の日本鍼灸師会から政府に請願書が出ているんです。これは極めて内容の濃いものであり、的を得た内容であります。」
「そして注目すべきことは独立をすることによってそれぞれが発展をしていくということ、正に私が今まで述べてきたような内容が網羅されているわけでございます。」
「鍼灸師がきちんとした形でその道を切り開き、そしてその道を築き発展していくのが必要不可欠なわけであります。医療人としての身分の確立、これは鍼灸師法制定以外考えられない。鍼灸師法が制定されることによって国民に満足度の高い医療サービスを提供すること、そして伝統ある日本の鍼灸を世界に発信する時代が到来したといっても過言ではありません。今こそ鍼灸の専門団体でございます日本鍼灸師会が一致団結し、強固な決意の基にこの鍼灸師法に向けて、精力的に努力することを念願しています。」

大口俊徳先生は。
「今まで先人たちがこのことのお題目を何回も唱えています。ですけれども現場に乗り込んでそのお話を継続して法律に導くところまでやられたかたは誰も居ない。マイルドな話はいくらともなくやられたと思います。私が療養費にたづさわって、平成13年の6月から、こう労省で94回目でございます。療養費も3倍に伸びました。その影にはどのくらい労力を要するか、やった人間以外には分かりません。ですからこのことに関しましては冷静に自分では立ち向かい、そして、将来の日本鍼灸師会を思うと、私が言わなければ成らないことは言う気持ちを決意して今日臨みました。非常に重たい問題です。真剣に現況の法律での相違点を皆様にお示しし、時間も十分ではございませんので説明も十分出来ません。ですけれどもその条文に隠されている問題点を一人ひとり、家に帰ってもう1度このことを勉強していただきたい。私はその取っ掛かりとなれば、今日は成功だったかなーと思います。
まずはじめに現行法の運用上の問題点、あん摩、マッサージ、はり師、きゅう師などに関する法律での問題点は皆さん今まで十分語っているところでございますので、この辺は簡潔に述べさせていただきます。それから柔道整復師法との相違点、そして療養費の取り扱い上の相違点、介護保険制度の相違点、理学療法士、作業療法師法における問題点と療養の給付、診療報酬点数表(不明瞭)等の評価この辺の内容を私お話させていただきます。」
「第1条の総則の中で目的条項でよく医師法と比較したことを皆さんは言います。医師法と同じようにするには健康保健法を変えなければいけないという大変な問題点があるということを理解してください。そのハードルを自分たちに植え付けることによってこの法律ができないということをいってるのとイクオールだと思います。まずその条文に関しては医師法とイクオールなものは出来ません。なぜならば、療養の給付に入れるための条文になっているからです。」
「第5条に関しましては私が先ほどあん摩マッサージ法と鍼灸師法と二つに分けるべきだといったのは按摩マッサージの人達も、今分けないと大変なことになるということを私はお話したいんです。これはですね、第5条は柔道整復師法とそっくり同じことが書いてあるんです。言うならば、打撲捻挫、脱臼骨折に関しては医師の同意さえあれば良い訳なんです。マッサージ師が出来るはずなんです。で、いま柔道整復師はどうでしょう。電話で医師に確認した旨をカルテに記載すればいいんですね。それと同じでいいはずなんです。それは法律の中に謳いこまれた同じ条文なんです。柔道整復師法、家に帰ってここのところを比べてみるとよく分かります。」
「それから12条ですね。何ひとも第1条に掲げるほかは、医業類似行為を業としてはならない。但し、柔道整復をぎょうとしているものについては柔道整復師法の定めるところによる。柔道整復師法を見てください。中に12条に関する医業類似行為ということが書かれた条文は総て消されております。」
「柔道整復師は医師の同意を得たほか、脱臼または骨折の場所に施術をしてはならない。但し応急手当をする場合はこの限りではない。応急手当の場合を除き総てあん摩マッサージ師と同じ条文なんですね。じゃ、同じような取り扱いが出来ていいはずなんですよ。ですから1回の同意を取っただけでずっと出来るようになってるし、同意書じゃなくて同意で出来るはずなんですね。療養費における取り扱いの相違点におきましても医学的に評価されているマッサージと、東洋医学としての鍼灸の治療の受給対象の概念の違いがある。我々はいくつの部位をやっても1施術という概念。マッサージは部位請求が出来るようになっている。基本的な概念の違いを、こう労省は運用上でやってるんですね。」
「介護保険制度における相違点であります。あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師は機能訓練指導員として位置付けられており、介護保険では評価されている。鍼灸師のみが対象外と成っている。この事がありますから、機能訓練運動指導員養成講座を我々がやっているんです。まずその新しく出来た制度の中に全般に私たちが入っていって、私たちが評価されるような状態に行かなければ誰も評価してくれないですね。」
「第15条2の中に理学療法士が病院もしくは診療所において、または医師の具体的な指示を受けて理学療法士の行うマッサージについてはあん摩マッサージ指圧師、はり師きゅう師等に関する法律217条第1項の規定は適用しないと書いてある。」
「今、病院からどんどん理学療法士は追い出されて、自分たちが今、開業権を求めているといっています。近く訪問リハビリステーションというのが出来るかもしれません。そして各医院の中に在宅の訪問するリハ系の人が居てそのかたたちがマッサージをやられたらどうするんでしょう。」
「これは近く288億円を超えた療養費に関しては保険者が厳しくなるのは当然です。運動療法機能訓練技師講習会を終了したあん摩マッサージ、理学療法士に関するものと、機能訓練を行った場合については理学療法士にかかる初回点数を診療報酬に算定できる。こんな馬鹿なことを決めてしまったんですよ。これはですね、理学療法士の下にあん摩マッサージを置いてしまったんですよ。自分たちは推拿療法、あんま術、指圧というものを持ってて、いわゆる理学療法士も入ってこれないマッサージじゃないものを持っていながら、自分たちでこんなことを決めてしまったんですよ。上下関係を。先ほどいいました理学療法師法の中に含まれている問題点を今業団としてきちっと固めなければ、鍼灸師法だけではない。あん摩マッサージ指圧師法もきちっとした形で作っていかなければ我々の業界はつぶれてしまうと危機感を感じます。時間がございませんので飛ばしてきましたけれども、このまとめを言う場合にですねえ、金融庁当局とも私何回もやりあいました。今、民間保険が売られています。柔道整復は医師の行う治療の病院、診療所と同じように医療給付がされています。骨折、脱臼、打撲に関してはそれに準じた取り扱いを柔道整復は行っております。はり師きゅう師はいくら労災で行ったものを、国から支給されたものに対して、医療給付を請求したって駄目です。このことは金融庁と何回もやりあいました。それは先ほど言った12条とのかかわる問題が裏に隠されているということが分かりました。そしていろいろな人達が述べてきたことですから、私はとやかく言いませんけれども、業務の定義というものをきちっと明確にしていかなければ、我々が近い将来、鍼灸は残っても鍼灸師は残らないという現実が、だんだん近く迫ってきているような気がします。」

仲野。
「いまお三かたは非常にうまく鍼灸師の置かれているポジションを分析しながらどうすればいいかという所まで何となくアウトラインを示していただきました。これからの具体的活動として、各師会に政治連盟を一生懸命に日本鍼灸師会はお作りになるように提案をしました。公益社団法人を作るともっと難しくなりますので 尚さら急ぐ必要があります。そのところで政治連盟はまだ出来上がっていないところが多い。実は法律のところになってきますと議員立法という形をとろうとすれば、その部分しか絶対に残らないわけですから、その部分を含めて  是非、政治連盟を作らなきゃいけないというのはそこにあるわけです。」
それでは会場からご質問なりご意見なりをいただきます。お名前と出身県をお願いします。

五十嵐(山形県)、
「近代、現代100年ぐらいの医療とかこう労省の人たちも考えをずーっと日本鍼灸師会は研究してきているんだろうか。それが1点。」
「そういう鍼灸師をですね、健康増進法から除外し、そういう中で鍼灸師法制定というのを再提出する方向に持っていっていいんだろうかという、これが2点目。」
「医療器械としては全く新しいレーザーという器械が作られています。それが私に言わせれば鍼灸の革命と同じ意味合いを持っています。これを鍼灸師が研究していない。」

小松、
「まず鍼灸師の方を整理していかないと始まらないわけですね。」
「それからレーザーの話は鍼灸師法の定義がきちっと表示されてなければそんな話しは僕は出ないと思う。やはり定義を出さねば。そういうものを着々とできる事を整理する、それも急いでやっていかなけりゃいけないということだろうと思います。」

堀部(秋田県)。
「秋田県鍼灸師会の堀部と申します。「やはり鍼灸師法、身分法というのは絶対必要だろうと思うんです。先生方が大変努力しているのはすごく分かるんですが、じゃ、私に何か後押し、手伝いできることはないか、末端の鍼灸師が先生方の活動の後押しできることはないかと最近すごく考えるんです。ですからそれを、先生方が情報を発信し、なんかしてくれというメッセージを私たちに出来れば伝えて欲しいと思うんですけど」

仲野。
「請願書もここんとこ、日鍼会は出していません。皆さんのお力で請願書を作ってもらわなければならない。」

河野(山口県)。
「山口県の河野と申します。先ほど来3人の先生方から発表がありまして、危機感を持っておられることが伝わって参りました。しかしこの危機感は随分前から持っていて当たり前でありまして、それならばどういう対策を採るかという切羽詰った状況になっていると思うんです。ところがそれに関しては実際の方針、方向というものが一つも示されておらん。といえると思いますね。で、やっぱり日鍼会は鍼灸師界のリーダーですから、リーダーがリーダーシップをとらなきゃこの問題は絶対に進まない。僕はそういうふうに確信しております。で、先ほど来、通達を出すのにも非常に苦労するとおっしゃいました。確かにその通りだと思います。だけど法律を作るのは役人じゃなくて議員なんです。立法府で法律を作る。だから役人にたのんだって出来ません。だからその相手を議員に持っていくという方法が一つあるかなと思います。その具体的な方法として秘書を集めてレクチュアーするとか、そういう方法があるんじゃなかろうか、それから対策として昨日のシンポジウムで小川先生から示されたものは殆ど完成品だろうと思います。それについて実現するには、いま大学が随分出来まして、大学教育にプラスすれば、あのことが実現するだろうと思うんですよね。そうすると、今、特区の考え方が出てきておりますので、大学特区としてそういうカリキュラムをこなした人には一般の鍼灸師にない権利を与えるというような運動の仕方もあるかもしれない、そういうふうに感じます。まあ、いずれにしても急を要することですので、これから検討するというようなことでは、まあ仕方がないことですが、とにかく急いでいただきたい。」

今村(長野県)。
「鍼灸師に足りないのは政治力なんです。柔整師会との違いは政治力なんです。それがすべてですよ。」

仲野。
「政治力というのは言葉を変えていうとかねですから、」
「何が大事かというと一人ひとりが行動を起こす、提案をください。駄目だという話ではなくて、こうしたらどうだという話をください。」
                   



日鍼会結成時からの悲願といわれる「鍼灸師法」の制定に向けてようやく動き出したという感じがします。この機運を盛り上げ、是非とも鍼灸師法の制定を実現しなければなりません。
このシンポジウムでも秋田県の堀部先生から、「末端の鍼灸師が先生方の活動の後押しできることはないかと最近すごく考えるんです。ですからそれを、先生方が情報を発信し、なんかしてくれというメッセージを私たちに出来れば伝えて欲しいと思うんです」という力強い発言がありました。このように考えておられる会員も多いことと思います。この声に応えるために日鍼会は是非ともリーダーシップを発揮しなければなりません。
しかし、我々が心しなければいけないことは、鍼灸師法制定は最終目的ではなくて、我々が国民の健康の維持増進に寄与するための手段として、必要であるということであります。このこんぽん義から外れたところには鍼灸師法の制定もありえないし、鍼灸師の生き残る道もないものと思います。
今、日本の医療制度は崩壊の瀬戸際にあり、改革は避けて通れません。日本の医療制度全体を俯瞰し、我々をどこに位置づけるべきかを研究し、我々にとってもこの変革の波が最後のチャンスであると捉え、自分に何が出来るか考えようではありませんか。
            (文責 河野 紘)。



さて、ここで、県師会のホームページの掲示板に書き込まれたものを転載いたします。
この掲示板は、いつでも誰でも閲覧、投稿が可能な掲示板ですが、今回の特集を組むに当たり、議論を深めるのに一役買ってもらうことにいたしました。何かをやり遂げるには、勿論、強いリーダーシップは欠かせませんが、多くのかたが知恵を絞ることも必要だと考えます。                                                                                                                                                          

山口県鍼灸師会ホームページ 掲示板から


統合医療について 投稿者:AM 投稿日:2007年10月26日(金)10時57分53秒。

私は開業鍼灸師なのですが、日々思うことは鍼灸師の立場の低さです。
治療効果があがっていても、医師から「鍼灸なんて」と患者がしかられたりするケースも多々あります。
私の周りの開業鍼灸師たちは、鍼灸の歴史的文献の研究に勤しんでいるだけで鍼灸の効果に酔いしれています。
 もちろん、それも必要なのでしょうが、統合医療がすすめられていく中で、アーユルベーダ、アロマという名前が連なる一方で鍼灸の存在がかげに隠れています。
 私も鍼灸の立場を向上すべく立ち上がりたいのですが、どういう団体に入れば良いのかわかりません。
JACTの会員になってみようかと考えたりしますが、一鍼灸師が入った所で、何も変わらないような気もしますし、現在入っている会は、西洋との協力は不可能だと言っているので・・
 もしよろしければアドバイス頂けますか。?

AM様へ 投稿者:河野 紘 投稿日:2007年10月27日(土)02時55分43秒。

私は基本的に、現在の鍼灸師は実力に見合った正当な評価を受けていると思っています。しかし鍼灸治療そのものの実力は低くみられていると思います。このギャップを埋めるためには鍼灸師法を制定して養成機関を充実させ、鍼灸師の資質を向上させることが必要であると思っています。
 個人の一鍼灸師としては、自分の治療家としての実力を謙虚に反省し、これの向上のために、たゆまず努力することを心掛けています。実力は必ず認められると思っているからです。
 統合医療への潮流はもはや押しとどめられるものではないでしょう。「鍼灸なんて」というような医師は少数派になりつつあります。優秀な医師ほど、西洋医学の限界に気付き、よりよい医療を求めています。JACTの先生方はこのために集まっています。
 このような環境の中で、鍼灸師が鍼灸を担い続けていくためには、資質の向上以外に方法はありません。そのためには
@先ず自分の実力を上げる。
A鍼灸師全体の実力を上げる。
ことが必要です。現在業団、学会が連携して鍼灸医療推進研究会が発足しました。
日鍼会も有力メンバーです。ようやく鍼灸師自身が鍼灸師の地位向上に立ち上がったという感がします。
 個人の力は弱いように思われますが、個人がいないと集団は成り立ちません。集団の中に傑出した個人がいなければ烏合の衆となります。AMさんもJACTや日鍼会に足を運ばれて現実を直視されれば自ずと進むべき道が現前するのではないでしょうか。

投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 5月26日(月)01時06分59秒。

突然の書き込みをお許し下さい

関東の会員ですが、鍼灸師法推進について、河野先生のように

・鍼灸課程を6年にし、数年の卒後研修を課し、せめて歯科医師並にする
・海外に向けた日本の鍼灸技法の発信と、技術の知的財産権の確保

という、はっきりした目標を謳っておられるかたは少ないように思います。
どうも、私のいる師会では、骨接ぎと兼業の先生達には、鍼灸医としての法整備は望まれないかたが多いようにも感じます。盲学校から見ても、鍼灸医師の誕生は、青眼者との格差拡大に繋がる恐れもあり、あまり望まれていないように感じます。

 ただ、私の私見ですが、

・鍼灸技法は、日本発の強力な医療技法として、今後も発展させ発信させねばならない。
・骨接ぎは、技法的にも職業的にも、すでに社会的使命を終えており、今後統合されるべき
 (現行のままの資格継続はのぞましくない)。
・盲学校は、盲人の減少と共に鍼灸の担い手としての役割を終えつつある。
 (再生医療の進展で、視覚障害は近未来にはほぼ解消されると考えられる。)

のが、のっぴきならない現実と思います。

 骨接ぎや、盲学校のくびきから鍼灸を解き放って、鍼灸医師を誕生させるべきと思うのですが、日鍼会の法制部会などは、どうもおざなりなものになっているのではないでしょうか。
 ホネツギ並みの同意書撤廃などを目標に掲げているうちに、河野先生の言われるように、海外では技術の囲い込みが進み、江戸期以来我が国で確立してきた鍼灸技法が、知らない間にあちらの技法になっている、なんていう恐れが現実にあります(すでに灸の技術は、中国にすごい勢いで盗まれているように思います)。

 とりあえずの同意書撤廃の為に全力を投入してよいものでしょうか。?
本来、鍼灸に関わる診断権を確保して(鍼灸医師になって)、はじめて不要になるべきものが医師の同意書です。
 お教えいただきたいのですが、
・河野先生のおっしゃる学制の6年制への改組方針は、どの程度支持を受けているのでしょうか。
・鍼灸医師の職掌には、どのような範囲を想定なさっておられるのでしょうか。

 突然のお便りで大変失礼ではございますが、どうかお教えいただきたく存じます。



鍼灸師法 投稿者:河野 紘 投稿日:2008年 5月27日(火)02時07分25秒。

ご投稿を感謝いたします。震える想いで拝読いたしました。この掲示板の本来の目的(私の密やかな願い)に適う初めてのご投稿であったからです。この掲示板を是非とも鍼灸師法についての議論を深める場にしていきたいと考えております。
 私の基本的な考えは、鍼灸はすばらしい治療力を持った療法であり、西洋医学との根本的な差異は「気」の概念の有無であろうと思います。であるからこそ鍼灸師法が必要なのであります。しかし、西洋医学の進歩もめざましく治療家としてはこの知識も必要であります。これらを考え合わせると6年制の大学教育は必要なラインだといえると思います。
 鍼灸師に診断権はあるのか否かという問題に関してはあると断言できます。我々は東洋医学の診断に基づいて治療をしているのであって、診断権がないと治療は出来ません。ただ、現在の医療制度では、東洋医学的な診断名では保険が取り扱えないということです。
 同意書の撤廃は鍼灸医師とならなければありえないというのが私の意見ですが、同意書を廃止するためというより、鍼灸師として本当に力を発揮できるようになるためには6年は必要だろうと思うのです。骨接ぎやあん摩に関する知識は、私自身不足していますが、鍼灸医師としてあん摩、気功を含めるか、東洋医師として韓医師のように湯液を含めるのかは議論のあるところだろうと思います。
 日鍼会の取り組みの進展状況は私にもよく分かりません。鍼灸医療推進研究会の参加など、注目すべき活動がようやく始まったというところでしょうか。養成課程6年制への支持率など皆目見当も付きません。東京では「鍼灸師法制定へ向けて」のシンポジュームが行われたようですが、そういう機会を増やし、この掲示板のような場で議論を重ねていく以外、今のところ鍼灸師法制定へ向けての、我々が取りうる有効な手段はないように感じています。貴方の投稿がきっかけとなり、議論が盛り上がることを念願しています。よろしくお願いいたします。


河野先生 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 5月27日(火)06時04分10秒。

若造の書き込みを寛大に受け止めていただいて、大変うれしいです。
当方の大先輩方にも、もちろん鍼灸師法についてのご見解を伺ってはおります。しかし、生意気かも
しれませんが、なかなか要領を得ず、先生ほど明快なお話にはなりません。
私など、まだ免許取得後十数年(開業6年)の駆け出しですが、未熟者で難しいことが解らない分、普通の感覚で鍼灸医師のあるべき姿を考えられると思っております(思い込んでおります)。

【 1, 鍼灸医師の職掌としての「鍼灸医業」をどう定義するべきか 】

・ どうせ当分「気」の解明はなされません。鍼灸医業の内容としては、
@ 体表面への刺激を介した、疾病への介入技法一般
(もちろん、レーザーなどの機器による刺激を含む。)
A それに付随する投薬

 と、定義しておくのが適当ではないでしょうか。医学的基盤を持った鍼灸医師が業界を形成するようになれば、「気」の概念を通した身体観の解明や発展も、視野に入ります。
 それまでは、鍼灸は物理療法でいいのではないでしょうか。
 物理療法の専門医師として、伝統的に体系立てられた高度な物理療法(鍼灸)を、医療の各場面で活用していくことで、鍼灸技法を、正規の医療の中で、更に精錬された技法として育んでいくことが可能になります。

【 2, 鍼灸医師の課程 】

・ 現在、6年課程の資格は、医師のほか歯科医師、獣医師、薬剤師、があります。
 患者を「診れる」のは、医師のほかには歯科医業を行う歯科医師だけです。ここに、鍼灸医業を行う鍼灸医師を加えようというおはなしです。

 他業種の反発を受けないために、既存の「限定医師」である歯科医師と連携するのが最良です。歯科医師も飽和状態で、鍼灸や代替医療への参入に活路を見出しております。

@ 歯学部と、鍼灸医師課程の単位互換をする。
つまり、所定の単位を取得した歯科学生は、鍼灸医師国家試験を受け、鍼灸医師を取得出来る。

(鍼灸側の利点)

基礎学科の教育体系を、歯科が今行っているものをそのまま頂ける。
  卒後研修に、歯科大付属病院を活用出来る。

(歯科側の利点)

  歯しか診れない歯医者が、現在のように無理やり口腔疾患と結びつけずに鍼灸を出来るようになる。(全身診れるようになる)

A 現在の柔道整復師課程と按摩課程を、鍼灸医学部に吸収する。
社会の害悪になりつつある柔整の受領委任払いの乱用を防ぎ、「療養費」自体が問題視されることを防ぐため、じゅうせいの資格を廃止し、物理療法適応疾患に対する診断権を持った鍼灸医師による、診断に基づいた保険診療を確立する。
  鍼灸医師の過程に、整復技法を取り入れ、技法の損失を防ぐ。

 こういう形が妥当ではないかと思いますが、どうぞ、ご教導下さい。



鍼灸師法(2) 投稿者:河野 紘 投稿日:2008年 5月27日(火)18時52分40秒。

早速書き込みを頂いて有難うございます。
 鍼灸師法制定というテーマで議論されることが多いのですが、その内容について踏み込んだ議論が出来ておりません。ご指摘のように鍼灸医業の定義についても何もありません。ここのところは重要で改めて議論すべきと思いますが、「気」が解明されていないからといって物理療法と同じとしては鍼灸師法を作る必然性が失われますので、東洋医学的療法(鍼灸、手技を含む)としておくしかないと思います。法律は学術論文ではないので、この程度でも良いのではないかと考えます。
 ここで私自身の頭の整理のためにも、目指すべき東洋医学系の医療制度を鍼灸医師制度とすべきか、東洋医師制度とすべきかについて考えてみたいと思います。
 @ 湯液を含めるなら、東洋医師とすべきでありましょう。この場合はあん摩・マッサージ・指圧(じゅうせいを含む)などの東洋医学系治療法総てを含みます。
 A 鍼灸医師とした場合は@から湯液を除いたものとします。

 @の場合は中国や韓国の制度に倣ったものに近く、Aの場合は日本独自のものとなります。私見としては鍼灸を発展させるためにはAの方が良いと思います。鍼灸は術の部分が大きなウエイトを占め、ある程度の技術を身につけるためには退路をたって修行する必要があると思うからです。
 歯科医師との連携のご提案はよく分かりません。歯科医師になるために6年間を必要としているのに、鍼灸を勉強する暇はないはずです。その歯科学生に鍼灸師の受験資格を与えることは出来ないでしょう。



鍼灸師法(2)について 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 5月28日(水)07時55分51秒。

御指導有難うございます。

 突然お邪魔して、がっついて教えていただいて、申し訳ありません。
 先生のお考えは、

@鍼灸医業を「東洋医学的療法」と定義(あはきと骨接ぎ)
A資格としては、湯液を扱える「東洋医師」、もしくは湯液を扱えない「鍼灸医師」(←推奨)を想定

 ということと、承りました。@ についてなのですが、お教え下さい。
 「東洋医学的療法」と申しますと、新しい機器は使いにくくならないでしょうか。
 レーザーなどは、鍼による刺し傷や、ヨモギによる火傷よりも、強力で有効な経穴刺激法として発展させられる可能性があります。
 このような事は文言の話ですので、あまり重要ではないのかもしれませんが。

Aの湯液使用については、すでに医者の職掌であり、自然、湯液抜きの資格を目指すのが現実的のような気がします。

★ 上記のような、「鍼灸医の姿」に対する華やかな空想は大変、心も浮かれて楽しいのですが、それよりも喫緊で深刻な実際の問題があります。
 どんな鍼灸医を思い描くにしろ、現行の鍼灸学校での教育レベルが、絶望的に低いという事実です。今のままでは、現行医学を理解するのは無理ですし、ましてや現行医学に対する効果的な批判や、新たな治療法策の提示や、医学における新たな身体観の確立など、夢のまた夢です。今の学校をそのまま改組しても、卒業生は、誰にも「医師」とは呼んでもらえません。実際に、素人レベルの一般常識医学しか学んでいないのですから、仕方ありません。かといって東洋医学的な技法や思考の効果的な教育法は確立されておりません。
 すなわち、現在の学生は、卒業時点では、なんの専門家にもなり得ないのです。
そして、何よりも問題なのは、鍼灸学校の教育水準を実際に役に立つレベルの医学教育に引き上げようとした場合、大変なインフラや人的資源が必要だということです。これらを何も持たない、現在の殆どの鍼灸学校において、これらを一から作り上げるなど、絵に描いた餅のように思われます(それも素人画です)。
 このため、我々同様に資格者飽和状態に苦しむ歯科医師業界とタイアップをして、歯学部で行われる医学教育を、そのまま鍼灸医学部に移植をするのがよいと思うのです。解剖、生理、病理といった基礎医学は、医学部でも歯学部でも獣医学部でも何でも一緒です。歯学部の基礎医学分野の学科の受講を、鍼灸関連の学科の受講と取引するのです。
 また、鍼灸医の卒後研修において、歯科大学附属病院において、1〜2年の研修を行えるようにするのです。こうなれば、世の中に出てくる鍼灸師は、現在とは面目を一変いたします。
自前の附属病院を建設出来る鍼灸学校など殆ど無い現状で、一般の医学部附属病院に、鍼灸のレジデントコースを設定することは、まず不可能と思います。
 また、歯医者に鍼灸は出来ないという前提は、すでにほうぼうで、なし崩しにされております。色々な東洋医学関連の学会でも、歯科医師の参入がすでになだれを打っております。放っておいても、鍼灸技法は歯医者に侵食されます。
 鍼灸師会には、今のうちに、ぎょう団として歯科の分野に接近していただき、歯学生に対する鍼灸関連科目受講許可を取引材料に、鍼灸学生の基礎医学分野科目受講と卒後研修病院を確保していただきたいと、思うのです。

 以上、駆け出し鍼灸師の机上の空論です。
もしかしたら、力のある先生が、空論を具現化してくれるのではないかと夢想して、駄文を連ねております。もし少しでも、この歯医者取り込み路線に目があると思し召しましたら、どうぞ具現化に向けてのアドバイスをいただきたく存じます。




鍼灸師法(3) 投稿者:河野 紘 投稿日:2008年 5月29日(木)14時40分10秒。

書き込み有難うございました。私は、指導したり教えたりしているつもりは毛頭ありません。ただ、鍼灸師法について早急に制定することが是非とも必要であるとの想いから、このような書き込みを頂いたことに本当に感謝しております。私自身も想いばかりで未だ「法」そのものの骨格が出来ているわけではありません。そういうことで、このようなご提案をどんどん出していただければ、一つの流れが出来て、鍼灸師法制定へつながっていくのではないかと期待しております。さて、

>@ についてなのですが、お教え下さい。「東洋医学的療法」と申しますと、新しい機器は使いにくくならないでしょうか。レーザーなどは、鍼による刺し傷や、ヨモギによる火傷よりも、強力で有効な経穴刺激法として発展させられる可能性があります。


 東洋医学的療法とは東洋医学理論に基づいた療法であります。治療手段は、ヘン石から金属の鍼に変わったように、文明の進歩に伴って変化するのは当然のことだと思います。「経穴刺激法」であれば良いわけです。


>A の湯液使用については、すでに医者の職掌であり、自然、湯液抜きの資格を目指すのが現実的のような気がします。


 前回「A それに付随する投薬」 との記載がありましたので、薬を扱うという観点から考えると東洋医師として湯液も使用するという選択肢しかないように思います。ただ、けつい注射という技法もありますので、この辺は検討課題ということになりましょう。


>今のうちに、業団として歯科の分野に接近していただき、歯学生に対する鍼灸関連科目受講許可を取引材料に、鍼灸学生の基礎医学分野科目受講と卒後研修病院を確保していただきたいと、思うのです。


 果たして歯科業界が取引に乗ってくるでしょうか。歯科医が鍼灸を行うとすれば歯科医師法の改定が必要でしょうし、歯学生にとって鍼灸関連の科目の履修の上乗せは修業年限の延長を必要とすることになると思われます。仮に鍼灸業界と歯科業界の間で合意が出来たとしても、こう労省がそれを認めるでしょうか。
 基礎医学理論についていえば、コアカリキュラムの整備は進行しており、鍼灸大学で教育することも難しいことではなくなるものと思います。いずれにせよ、鍼灸治療は鍼灸師が担うべきであり、それに繋げるための鍼灸師法の制定であるべきで、そのためには基本的には鍼灸業界自身が努力する以外にないと思っていますが、ご指摘のようにインフラの整備や教授陣の資質の向上など、重大な問題がありますので、政治の支援を引き出すことは必要不可欠であると思っています。




鍼灸師法(3)について 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 6月 1日(日)11時36分10秒。

@「経穴刺激法」であれば東洋医学的療法。
A 投薬も職掌に含めた「東洋医師」を目指す。

 大変素晴らしいお考えだと思います。もろてを挙げて賛同させていただきます。
他に、もう二点だけ、伺いたいことがございます。

1)骨接ぎの資格との関係は、どのようになさるお考えですか。

 「鍼灸医(あるいは東洋医)」を作ろうとした場合、骨接ぎが黙っているはずはありません。骨接ぎ医」を言い出すに決まっています。
骨接ぎという資格は、固定法の専門資格ですが、すでに社会的使命は終っております。整形外科医に行くほうが、患者さんの為なのです。食べていく為に、不法に慢性疾患に対して病名を偽造し、療養費を食いつぶしています。
 骨接ぎで不法におこなうマッサージや鍼灸などは、「東洋医学」の名に値しない、別物です。(都内の状況しか知りませんので、他所の県では素晴らしい治療家の居られる骨接ぎもあるのかもしれませんが)
骨接ぎ医なぞが誕生できるわけも無く、また、そんなものは、国民医療の癌にしかなりません。が、鍼灸医創設には、かならず骨接ぎが絡んでくるのは間違いないことです。この辺をしっかりお考えになっておられますか。
 他業種との折り合いをつけることも、新しい医者資格を作るうえで大変に重要な作業です。
 「鍼灸医」の話は、実現しなければ、どんな夢を語ったところで、なんの世の役にも立たんのです。実現しなければ、どんな立派なことを言ったところで、たわ言なんです。実現するためには、足を引っ張ってくる事が予想される相手に対して、必要な手を打たねばなりません。これを打たないのは怠慢以外の何者でもありません。どんな手を使っても、実現することが目的なんです。夢を語ることが目的になっておりませんか。大変失礼な申しようで、申し訳ありません。

2)教育レベル向上のインフラ整備について。

 これが、「政治の支援」のみで行えるものとお考えですか。
医学教育というのは、基礎となる自前の仕事(研究)があって、はじめて主体的に行えるものです。つまりは、しっかりした自前の解剖学教室があってはじめて解剖の授業が成り立ちます。そうでなければ、いまの鍼灸学校の「人からまた聞き」の一般常識医学授業とおなじままです。
 つまりは、しっかりした自前の生理学教室があってはじめて生理学の授業が成り立ちます。そうでなければ、看護学校や理学療法士等の程度の低い医療資格の養成校の「また聞き」授業と全く同レベルの受身教育しか成り立ちません。これでは「〜医」など養成できません。

 インフラ整備とは、まともな解剖学教室、まともな生理学教室、まともな〜教室、を立ち上げていくことです。まともというのは、研究者として必要な力を持った教授(研究費を獲得でき、研究プランを指揮できる人)の下に、きちんと仕事の出来る助手や学生が育ってはじめて形になるのです。教育のインフラとは、ご存知だと思いますが、「人」というソフトが先行するものです。これに付随する研究設備などが、ハードとしてのインフラなんです。
 人が(チームが)成り立っていないところに設備のみ投入されても、死に器材が看護大学に山積みになっているのと同じ状況が現出されるだけで、馬鹿な税金の無駄遣いにしかならんのです。

 一からこれを造るなら、どの様なタイムコース(何年くらいでどの程度の研究室群をそろえるか)を想定なさっておられますか。
申し訳ありません、私達若造から見ましても、実現可能な話しとして「鍼灸医」を掲げておられるとは思えないのです。
 
 実現しなければなりません。そのためにどういう手が打てるのか、出来ることは命がけでなさねばなりません。実現が目的なんです。いくら頑張ったところで、実現を勝ち取れなければ、何の意味もありません。鍼灸医を実現できねば、人様の何の役にも立たんのです。

 経験豊富な先生方の見込みを、お教え下さい。

続けざまにすみません 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 6月 1日(日)13時59分19秒。

鍼灸医師法の主眼は、

@ いい加減な業界を形成している、日本の代替医療(鍼灸按摩のほか、骨接ぎ、カイロや療術など)の業界に、きちんとした教育研究基盤を持った資格を誕生させることが必要。
A これら代替医療の中で、内容的に最も強力で発展性のあるものが「鍼灸」であるからこそ、鍼灸医が必要。鍼灸医は、骨接ぎなどの問題資格や、カイロなどの無免許療法も統括する「医師」でなければならない。ということだと思います。
この為に必要なのは、
★1)教育機関の課程延長(6年制資格へ)とレベルアップ。
★2)教育機関に附属病院を設置、卒後研修課程の制度化です。

★1)の教育課程の内容やレベルアップなどに対しては、確かに各大学の自主的な努力に負うしかないもので、業界として何か出来る事は少ないかもしれません。業界として政治の力を引き出すといっても、中なか効果的な働きかけは出来ないかもしれません。
 しかし、★2)の附属病院設置には、業界のサポートが強力に効果を出せると思います。
鍼灸大学の附属病院設置は、卒後研修と免許者のレベルアップに必須。そしてこの病院設置には、国の後押しも必須。
 これは、各大学が自主的に、他の医科大学や歯科大学などとの連携を行うことで、大きく現実味を帯びるため、鍼灸業界は、このような各鍼灸大学の働きかけをうながし、業界としてサポートしなければならない。
 このような前提に立って、政治力を発揮してくださるのが良いのではないでしょうか。





鍼灸師法(4) 投稿者:河野 紘 投稿日:2008年 6月 2日(月)00時03分21秒。

私は鍼灸を生業として30年になりますが、政治的なことは全くの素人です。鍼灸師法が実現可能かどうか見当も付きません。しかし、鍼灸師法の制定を願っています。日鍼会が鍼灸師法制定を目指して設立され60年近くになりますが、未だ実現しておりません。これは我々の努力が足りなかったためであると思います。それ故、ない知恵を絞りとにかく世の中に発信していかなければならないと考えてこの掲示板を始めました。
 ようやく、貴方のように元気のいいかたに投稿していただけるようになりました。これを是非とも大きなうねりにしていかなければなりません。とことん議論していきましょう。
 私は基本的に、現実の鍼灸はそんなに力を持っていないと考えております。鍼灸が圧倒的な治癒率を示すことが出来れば、骨接ぎや、無資格者のカイロ、整体等がこんなに流行ることはないと思います。現在、開業鍼灸師は約8万人ぐらいでしょうか。その内、組織に入っているのはせいぜい2割ぐらいでしょう。しかし鍼灸そのものへの評価の鍵は大多数の未組織鍼灸師が握っています。これらの方々へのアプローチも大いなる問題です。
 ですから現在、鍼灸は正当な評価を社会から受けていると思います。しかし、可能性は大いなるものがあります。本当に鍼灸の実力を引き出せば当然社会の評価は高まります。鍼灸大学も大分増えてきました。こちらは文科省から設立認可を受けていますのでインフラその他も相応なものがあると思います。益々充実させなければなりません。
 鍼灸師法の制定は容易ではないでしょうが、政治家や役人に理解を深めていただかなければなりません。また一般の方々に是非理解していただいて国民的な運動にまで高めたいものです。我々としては牛歩の取り組みにいらだちますが、このような状況の中で我々がとり得る方策を考える必要もあろうと思います。このような視点からも是非ご投稿下さい。




未組織鍼灸師の件 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 6月 6日(金)00時57分45秒。

失礼いたします。

 鍼灸師の免許を取得後、おおよその鍼灸師は勤務いたします。勤務後、経験を積んで開業いたします。
未組織鍼灸師の殆どは、勤務鍼灸師です。
 全国病院理学療法協会というのがあります。按摩師などに、PT機能を付与する伝統のある機構です。ぎょう団は、このような形態を取るのが良いと思います。
免許取得後、ぎょう団に所属し研修を修了すると、PT機能が付与されます。これなら、医療機関への就職にも有利になります。勤務鍼灸師を組織できます。レベルを上げることも出来ます。
このような特典のある研修をぎょう団が実施できれば、魅力が高まりませんか。
 介護予防運動指導員などの資格も、今は、鍼灸師会など、せこくお金を取って講習を主催しておりますが、会員には、無料で受講できるようにすべきです。資格を取れるということになると、新入会員は大幅に増加いたしましょう。
 あるいは、受講試験を設定して足きりをすれば、レベルアップの効果も見込めます。

 病院勤務鍼灸師は、業界の癌だ、などというひどいかたもいらっしゃいますが、これは間違いです。病院勤務が、実は一番為になる「卒後研修」です。
 医療の実際を知り、その上で、鍼灸が勝るところを考え実践出来るようになるのだと思います。

 ぎょう団の卒後研修は、言い方は悪いですが、資格をエサに、免許者のレベルを上げて、医療機関に送り込むためのもので良いのではないでしょうか。
見込みのある者は、勤務の間に多くを学びます。見込みの無いものは、どの道なにも学ばず、何も掴みません。
 資格を与えて(PT機能、介護予防運動指導員など)、放り出すのが、どの道自己研鑽が必要な「鍼灸使い」には一番良い卒後研修ではありますまいか。

 鍼灸を使いこなすためには、現行の医療を知らねばなりません。これは医療人として必須です。
この上で、「気」でしょう。でなければ、不気味で危険な資格からの脱却は叶いません。
「鍼灸医」なぞ、夢と消えます。

鍼灸の力について 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 6月 6日(金)01時22分24秒。

続けて申し訳ありません。

>私は基本的に、現実の鍼灸はそんなに力を持っていないと考えております。鍼灸が圧倒的な治癒率を示すことが出来れば、骨接ぎや、無資格者のカイロ、整体等がこんなに流行ることはないと思います。

 鍼灸は、すごい力を持っています。
先生のおっしゃりようは、おそらく鍼灸医療を、現行の医療と対峙するものと捉えたものと拝察いたします。
 鍼灸は、ただの技術です。たとえそれが「気」を操る技術であったとしても、ただの医療技術であることには変わりありません。それは、病気の人の役に立つべき、ただの技術です。
 医療の多くの場面において、鍼灸は、患者さんを助けるために活用されるべきです。
 腎不全を鍼灸のみで「治す」ことは、普通は無理ですし、危険です。我々の職掌では責任ある対応を取れませんので、安易に請け負うことはお勧めできません。
しかし、透析導入になってしまった患者さんに対して、透析中の合併症対策などでは、鍼灸しか方策が無いような場合も実際にあります。
 現代の医薬品が、「患者の治る力を削ぐ」毒物だ、等というたわ言を良く聞きます。
 もし、鍼灸医療の全人的な身体把握法が実践のレベルで身についているなら、医薬品で傷付いた機能を補えるはずです。つまり、重症患者に絶対必要な薬物による副作用を、鍼灸活用によって押えられるはずです。

 現代医療に対峙して何か大げさなことを言って、結局大した仕事をしないで終る鍼灸師よりも、現代医療の尻拭いでも下働きでも、患者さんの為に地べたで働き通した鍼灸師のほうが、世の中の役に立つ鍼灸師ですし、それが、ただの医療技法であるべき鍼灸技法の正しい活用法なんだと思います。

 実際に幅広く使える、内容の濃い技法であることが、整体だの何だのとの違いです。ほねつぎなどは、技法自体が無く、資格のみしかありません。整体のような徒手の技法は、健常人には適用しやすいですが、様々な疾患の様々なびょう期に適用するには、技法が危険な割には効果が鮮明に出しにくいものです。

 強力な効果を引き出す事が「手軽に出来る」ことが、鍼灸の活用の広さであり、技法の真の価値です。つまり、「鍼灸のすごい力」というのは、他の技法(現行医療)と手軽にちゃんぽん出来ること、だと思います。




鍼灸師法(5) 投稿者:河野 紘 投稿日:2008年 6月 9日(月)00時01分41秒。

ご意見有難うございました。

>鍼灸師の免許を取得後、おおよその鍼灸師は勤務いたします。勤務後、経験を積んで開業いたします。
未組織鍼灸師の殆どは、勤務鍼灸師です。

 この辺の統計資料をおもちでしょうか?

>全国病院理学療法協会というのがあります。按摩師などに、PT機能を付与する伝統のある機構です。ぎょう団は、このような形態を取るのが良いと思います。

 このような機構のことは知りませんでしたので検討課題としておきます。

>鍼灸を使いこなすためには、現行の医療を知らねばなりません。これは医療人として必須です。

 その通りだと思いますが、鍼灸の真髄が「気」であるのは現行の医療には関係ありません。我々の使命は西洋医学にはない気の医学を復権させることです。

>鍼灸医療の全人的な身体把握法が実践のレベルで身についているなら医薬品で傷付いた機能を補えるはずです。

 鍼灸師法制定の目的の一つは、このようなレベルの鍼灸師を養成することです。これが出来ればれっきとした医療です。私は30年やってきてようやくそのレベルに近付いたかなと思っていますが、それだけにもう少し効率的な教育法があるはずだと考えております。
 透析中の合併症対策なども病院勤務でもしていないと云々できるほどの症例数には達しないでしょう。大いに病院勤務で腕を磨いて欲しいものです。

 私も鍼灸はすごい力を持っていると思います。それは特に予防の分野で発揮されるであろうと思っています。しかしこれは病気の予兆を的確に感じ取れるようにならないと出来ません。現実の鍼灸の実力を低く評価したのは医療政策の貧困に因って、鍼灸の実力を発揮できるような環境が出来ていないことをいいたかったからです。従ってすごい力=潜在力だと思っています。





鍼灸師法(5)について 投稿者:日鍼会会員 投稿日:2008年 6月10日(火)07時17分26秒。

プロの医療資格として、実践的な医療知識を備えて業務を行い、「鍼灸医学」の復権を目指せる鍼灸医師を養成する、というご教唆ですよね。大賛成です。
おたずねの点ですが、
>組織未加入鍼灸師の勤務状況や開業率について。

申し訳ありません、会報等で見た覚えがありますが、もしかしたらいい加減なことを申しました。

 また、
>透析中の合併症対策なども病院勤務でもしていないと云々できるほどの症例数には達しないでしょう。大いに病院勤務で腕を磨いて欲しいものです。

についてなのですが、
鍼灸師の開業に関わる資格要件に、医療機関勤務10年以上あるいは5年以上+鍼灸院5年など、年数を加えるのが良いと思うのですけれど、そのようなご意見は、あまり盛んではないのでしょうか。卒後研修とは別に、開業にはハードルを設けるのが良いと思います。
 開業試験を課して、保険の取り扱いや医療機関との連携のルールなどを最低限チェックしてから開業許可、ということになりますと、鍼灸師会の見解や働きかけを理解してもらえますし、業務にも反映してもらえます。




鍼灸師法(6) 投稿者:河野 紘 投稿日:2008年 6月10日(火)20時13分49秒。

ご意見有難うございました。貴方の鍼灸に対する想いの丈がよく伝わってきます。

>鍼灸師の開業に関わる資格要件に、医療機関勤務10年以上あるいは5年以上+鍼灸院5年など、年数を加えるのが良いと思うのですけれど、そのようなご意見は、あまり盛んではないのでしょうか。

 医師のインターン制度もあることですし、議論はなされていると思います。鍼灸は道具が簡単なため、施術も簡単のように誤解されやすいかもしれませんが、安定したちこうが得られるようになるのはなかなか大変です。
 本当に実力をつけるには相当な年月がかかるものと思います。しかし、学生時代にめちゃくちゃに打った鍼が著効を収めることがあるのも事実ですので、業団が設定した講習会受講を義務化して見守っていくと言う方法もあるかもしれません。
 いずれにしても卒後研修は必須であり、日鍼会でも議論されています。この辺については近い将来公にされることと期待しております。
 現在はブレーンストーミングの手法の時期であり、このような場で大いに意見を公表して議論を深めるべきであろうと思います。そういう意味においても貴方の投稿に感謝しております。






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