統合医療の時代

会長 河野紘

季刊誌『JACT』が送られてきた。目次を追っていくと、

l       統合医療との出会い

l       大学医学教育に「統合医療」教育を

l       世界から孤立する我国の漢方医学

l       新春鼎談 統合医療の時代を作る

l       “こころの故郷”になるような療養型病院を目指したい

l       JACT/JIM合同大会2006in名古屋

  学術会議から国民運動へ

l       統合医療の海外潮流

 鍼の有効性調査に取り組むミュンヘン大学

  鍼、指圧にも欧州で再評価の兆し

等々、盛りだくさんであるが、これらの記事全部に鍼灸の文字が見受けられる。しかし、鍼灸師や鍼灸師会の文字は皆無といってよい。

これは西洋医学者の西洋医学に対する反省から生まれた団体であるから、当然のことではあるが、社会的なインパクトをもつ高名な医師や政治家、財界人などが名を連ねるなかで、統合医療化は既定方針として進んでいる。

このような中で鍼灸は大いに喧伝されているが、鍼灸師や鍼灸師会は埋没している。統合医療化の進展の中で鍼灸師や鍼灸師会が自らの存在をアピールし、統合医療化後の位置づけについて自らの要望を表明しなかったら、鍼灸は残っても鍼灸師はいなくなるであろう。

それは、予防医療にシフトしようという医療制度改革が目前に迫っているからである。武見敬三先生のお話でもこの1年が医療制度改革の正念場であるということであった。予防医療にシフトすることは鍼灸が見直され積極的に取り入れられるようになるであろうが、それを担うのは鍼灸師とは限らない。

前掲の見出しにも有るように“大学医学教育に「統合医療」教育を”進めているのである。その中に「疾病の科学的側面を教える現在の大学医学教育にCAM(Complementary and Alternative Medicine代替・相補医療)を含めた「統合医療」教育を行うことが何より大切であろう。

CAMの指導者養成を含めた国の施策が喫緊の課題である。」大阪警察病院院長、順天堂大学名誉教授、学校法人順天堂理事 佐藤信紘 とある。

日鍼会、都道府県鍼灸師会は、今こそ鍼灸師、鍼灸師会の立場、統合医療への取り組み、今後の展望など明確に打ち出さなければならない。これは焦眉の急を要することである。もちろんJACT誌のみが問題ではないが、我々は政治や社会へのアプローチが少なすぎる。

いつごろの話か忘れたが、日本の議会をある中国人が、「会して議せず、議して決せず、決して行わず」と評したという。鍼灸師法制定については行動を開始する時は既に過ぎていると思うのだが。

ここで、我々のとるべき道は鍼灸師法制定によって、鍼灸師を統合医療の担い手にすることである。そのためには、養成制度の改革は当然必要になってくる。これはもちろん鍼灸師法の内容に含まれる。

統合医療で鍼灸を活用するためには、現在の養成制度では不十分であり、中国鍼灸に席巻されている世界の鍼灸の中で、患者に快適な日本鍼灸を普及させるためにはもはや国策によって鍼灸を発展させる以外に方法がないことを政治家に認識してもらわねばならない。

術の要素が大きい鍼灸には、鍼灸師のノウハウが必要であることを認識してもらわねばならない。

このような状況を一般に公開して国民に知って貰らわねばならない。国民が知らなければ政治家は動かない。そして我々鍼灸師は、統合医療化の潮流が変える事などできないことを認識し、この潮流の中で我々の持てる力を発揮する方策を考えていかなければならないのである。日鍼会には是非ともリーダーシップを発揮してもらわねばならない。

【鍼友灸友】40

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