鍼灸師法制定の必要性

            会長 河野紘

鍼灸師法の制定は日鍼会設立以来の悲願であると言われて来ました。しかし昭和38年の請願書提出以外にこれといった対応は取られてきませんでした。以来46年、ようやく昨年の日鍼会大会でシンポジュームとして取り上げられ、この問題に本格的に取り組もうとする意思が見えてきました。

このようなスローテンポな取り組みの中で、我々鍼灸師を取り巻く環境は急激に変化しており、鍼灸師法制定が喫緊の課題と成ってきています。しかしこのような状況を知悉している会員は未だ少数であろうと思われます。

いまや鍼灸師法の制定は国内問題に止まらず、医療全体を俯瞰した世界的規模の問題になってきています。世界160ヶ国以上で鍼灸治療が行われ、特許取得や世界標準化などが日程に上り、これを巡って熾烈な戦いが始まっております。

世界の常識は、統合医療化のうねりの中にあって、鍼灸は最も期待される治療法であり、れっきとした医療として医師が取り組むべきものであります。わが国の実情と比較して懸隔甚だしくこれを埋めるために蛮勇が求められています。このままで推移するならば千数百年の歴史に育まれ、我々の血肉となった日本鍼灸が抹殺されてしまいます。

このような状態に置かれた日本鍼灸を護るためという視点を持たなくてはならなくなったのです。単に我々の生活権の問題ではなくて日本文化の存亡に関わる一大事であります。自国の文化を守り育てる意欲を失った国は滅びるより外ありません。

私は先ず我々鍼灸師が現状を理解し立ち上がるべきであると思っています。そのためには鍼灸師法制定の必要性をしっかりと理解しなくてはなりません。シンポジュームではこの必要性について詳述しようと思います。これをきっかけに鍼灸師法制定の議論が盛り上がることを期待して止みません。

第5回 日本鍼灸師会大会シンポジューム抄録


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