夕暮れが早くなり、秋らしい青空が広がる。諸行無常。すべては一時も止まること無く変化し続ける。我々が一路死に向かって突き進んでいる状況も諸行無常。しかし、諸行無常は大いなる救いでもある。苦しい闘病生活も永遠ではない。必ず変化する。

 秋はこのような感傷を生じやすい季節でもある。そのような諸行無常の中で、鍼灸学術の継承・発展をどのように成し遂げていくのか。その行き先を右するか左するかは、かかって我々の意思による。意思が、諸行無常に働きかけて、方向を決する。

 世界的な遺伝子学者、村上和雄先生によると、心の働きが遺伝子を活性化する。物理力とともに意志力も強大である。西洋医学とともに、東洋医学も強大である。我々は東洋医学が流れる無常の川をどの方向にも回して行ける。ならば、どの方向に回したらよいか、真剣に考えるべき秋である。

西洋医学が陽であるとすれば、東洋医学は陰である。現在の情勢は陽盛である。陰を補う具体的な方法は、鍼灸医師制度である。

 これを荒唐無稽と捉えれば、川の流れる方向は変わらない。鍼灸師の地位を上げようと思えば、鍼灸の特性を伸ばして、西洋医学に出来ないことを成し遂げねばならない。鍼灸医師制度に方向を定め、名に恥じぬ実力をつける努力と覚悟を持たなければならない。          素山 

「鍼友灸友」25号

戻る

随想